2004 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的分子系統解析による琉球列島の陸上無脊椎動物相の成立過程の解明
Project/Area Number |
16370042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20241771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴崎 展巨 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (00183872)
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Keywords | 生物地理 / 分子系統解析 / 陸産貝類 / 琉球列島 |
Research Abstract |
本年度は陸産貝類のナンバンマイマイ科、キセルモドキ科、カサマイマイ科の入手できたサンプルを用いて予備的解析を行った。琉球列島に広く分布し、かつ種分化が著しいSatsuma, Yakuena, Videnoida属についてmtDNAの一部の領域の塩基配列をdirect sequenceにより決定し、分子系統解析を行った。 その結果、これら3科で共通するパターンとして、1)琉球列島の分類群は本州、九州の分類群とは別の系統となる、2)南琉球の分類群が最初に分岐し、中琉球+北琉球の分類群が単系統群となる、3)沖縄本島および周辺の島の個体群は単系統群となる、という傾向が認められ、これは琉球列島の古地理とよく合致することが分かった。一方、類縁関係が生物地理と一致しない場合が、複数の分類群で認められた。特にキセルモドキ科では、琉球列島の外に分布する種が北+中琉球のクレードに含まれ、これは海流による分散が起きている証拠であると考えられた。 今回の分子系統解析によって判明した陸貝の類縁関係は現行の分類と一致しない部分が多く認められた。これは特定の形質の類似性が系統関係を反映していないことを示しており、これらの種については分類学的位置を変更すべきであると考えられる。また、カサマイマイ科では複数の隠蔽種の存在が示唆され、分類を大幅に見直す必要と思われる。上記3科において中琉球+北琉球の分類群が単系統群となるが、いずれの場合も奄美諸島の分類群が古く分岐していることが示唆され、奄美諸島のサンプリングを詳細に行う必要が判明した。そこで、奄美諸島でのサンプリングを実施し、多数の標本を得た。これらのサンプルは現在解析中である。
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Research Products
(2 results)