2006 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的分子系統解析による琉球列島の陸上無脊椎動物相の成立過程の解明
Project/Area Number |
16370042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20241771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴崎 展巨 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (00183872)
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Keywords | 分類 / 軟体動物 / 分子系統 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、マイマイ上科、キセルモドキ科、カサマイマイ科、ベッコウマイマイ科の系統解析を進め、キセルガイ科、ヤマタニシ科、ヤマキサゴ科の分類学的再検討、分子系統解析も行った。特に琉球列島の分類群の起源と系統解析の適切な外群を調べるために、台湾、中国南部、ベトナム、マレーシアのサンプルについても比較検討したところ、従来の分類体系とは大きく異なる知見が得られた。例えば、カサマイマイ科の属は長らく琉球列島の固有属と考えられていたが、東南アジア、中国産の別属に分類されていた種が本属の一員であることが判明し、琉球列島の分類群はその系統の末端に位置する一群に過ぎない。また、ベッコウマイマイ科のBekkochlamys属も日本に固有であると考えられていたが、解剖学的特徴を再検討したところ、台湾のPetalochlamys属の一員であり、この広義のPetalochlamysに近縁あるいは同属と思われる分類群が中国や東南アジアに存在することが分かった。Petalochlamys属は台湾での種多様性が著しく高く、その中の複数の系統が琉球列島や日本本土へと進出したことが示唆される。 また琉球列島の固有種の関係については新たなサンプルを加えて解析したところ、一部の島の固有の分類群とされていたものは遠く離れた島の集団との遺伝的分化がほとんどなく、きわめて最近に人為的に移入された可能性が高いことも判明した。この分類群については固有種としての位置づけを変更する必要があると考えられる。 また、Rathouisiidae科に属するナメクジには多くの未記載種が存在し、琉球列島では地域ごとの固有種になっていることが判明した。これらの一部は外見による識別は困難で、正確な同定をするためには生殖器の形態を見ることが必要である。
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Research Products
(3 results)