2006 Fiscal Year Annual Research Report
汎熱帯海流散布植物の種の維持と分化に関する分子集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
16370043
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
梶田 忠 千葉大学, 理学部, 助教授 (80301117)
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Keywords | オオハマボウ / Hibiscus pernambucensis / グンバイヒルガオ / Rhizophora mangle / PCR-SSCP-SSP解析 / マイクロサテライト / AFLP / パナマ地峡 |
Research Abstract |
1.グンバイヒルガオでは、全世界の熱帯域を広くカバーする38集団、792サンプルを用いてAFLP解析を実施した。得られたデータについて、一般的な集団遺伝学的パラメータの他、AMOVA解析、遺伝的障壁の検出、Mantel検定を行い、種内の遺伝的構造を明らかにした。その結果、以下の3点が明らかになった。 (1)外部形態で区別されているssp.brasiliensisとssp.pes-capraeの2つの亜種は、遺伝的にも異なるまとまりとして認識された。 (2)地理的な障壁を挟む集団間の遺伝的分化の程度を比較したところ、南北アメリカ大陸が最も大きく、つづいて太平洋東部、アフリカ大陸という順になったが、いずれも亜種間の遺伝的分化の大きさよりは小さかった。 (3)マレー半島を挟んだ集団間では相対的には大きな遺伝的分化がみられず、海域間での長距離種子散布が示唆された。 2.Rhizophora mangleについては、コスタリカでサンプル収集を行った。得られたサンプルについて葉緑体遺伝子の複数マーカーを用いて、ハプロタイプの遺伝子系統樹の作成を行い、集団間のハプロタイプ組成を決定した。その結果、パナマ地峡をはさむ集団間で、明瞭な遺伝的分化が確かめられた。また、南太平洋に分布するR.samoensisはR.mangleの太平洋の集団と共通のハプロタイプを持っていることが明らかになった。 3.オオハマボウとその近縁4種で、昨年度までにマイクロサテライト解析を用いて得られた集団間の遺伝的分化について、Assignment Test等の解析を行い、論文原稿にまとめた。 4.上記のうち、グンバイヒルガオとオオハマボウについての結果を、2006年7月にカリフォルニア州立大で開かれたアメリカ植物学会大会において発表した。 〔研究協力者〕 千葉大学理学部 学術研究支援員 高山浩司
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Research Products
(2 results)