2004 Fiscal Year Annual Research Report
パーオキシ型新規活性種を用いるヘムオキシゲナーゼ反応機構の解明
Project/Area Number |
16370056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90323120)
海野 昌喜 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10359549)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / パーオキシ型ヘム / 反応中間体 / 反応機構 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼは、不要になったヘムを一酸化炭素・鉄・ビリベルジンに分解するタンパク質であり、鉄の恒常性維持・抗酸化ストレス・シグナル伝達などに重要である。ヘムオキシゲナーゼによるヘム分解は多段階にわたる複雑な反応であり、他の酵素には見られない特異な機構で進行する。我々にはこの特異ともいえる酵素の反応機構をより詳細に理解するため、分光学的な手法やタンパク質工学、X線結晶解析などを駆使して、この酵素についての研究を行っている。今年度の実績は主に以下の通りである。 1.結晶内でのパーオキシ種のトラップ ジフテリア菌由来のヘムオキシゲナーゼの不安定な反応中間体の一つである酸素化型の高分解能の結晶構造解析に成功した。さらに酸素化型の結晶に低温(〜100K)でX線を照射すると、パーオキシ種の吸収スペクトルを示すことを見出した。スペクトルが変化した後収集したX線回折強度データを用いて計算した電子密度図により、ヘムのαメソ位の近辺に新たなピークが見られた。 2.タンパク内プロトン移動の解析 ヘムオキシゲナーゼの活性中心には効率的なプロトン供給チャネルが存在し、特にパーオキシ型活性種の生成に必要なプロトン移動は、酵素の構造緩和が起きえない4Kにおいてさえ速やかに進行することを明らかにした。同様なプロトン供給チャネルを有する他の酵素と比べても、ヘムオキシゲナーゼにおけるプロトン移動は非常に速く、ヘム分解という特異な反応に必須の要素ではないかと考えられる。なお、本研究は酵素中のプロトン移動を液体ヘリウム温度で観測した初めての例である。
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Research Products
(6 results)