2005 Fiscal Year Annual Research Report
パーオキシ型新規活性種を用いるヘムオキシゲナーゼ反応機構の解明
Project/Area Number |
16370056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90323120)
海野 昌喜 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10359549)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / パーオキシ型ヘム / 反応中間体 / 反応機構 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼは、不要になったヘムを一酸化炭素・鉄・ビリベルジンに分解するタンパク質であり、鉄の恒常性維持・抗酸化ストレス・シグナル伝達などに重要である。ヘムオキシゲナーゼによるヘム分解は多段階にわたる複雑な反応であり、他の酵素には見られない特異な機構で進行する。我々はこの特異ともいえる酵素の反応機構をより詳細に理解するため、分光学的な手法やタンパク質工学、X線結晶解析などを駆使して、この酵素についての研究を行っている。 ヘムオキシゲナーゼによるヘム分解の初段階は、ヘム自身を水酸化する点で特殊であり、その反応機構に関する研究は活発になされてきた。現在までの多くの状況証拠から、ヘム水酸化の活性種はハイドロパーオキソ型ヘム(Fe-OOH)と考えられるに至った。しかし、他のヘム酵素と同様に、オキソ鉄(IV)-ポルフィリンラジカル(compound I)を活性種とする考えも根強く残っている。 我々は、m-chloroperbenzoic acid(mCPBA)を酸化剤に用いることにより、ヘムオキシゲナーゼのcompound Iを直接観測することに初めて成功し、吸収およびEPRスペクトルによりその同定を行った。さらに、compound Iの分子内および外部基質との反応性の評価から、ヘムオキシゲナーゼのcompound Iはヘムを水酸化出来ないことを直接証明した。この結果により、10年以上に及ぶ議論に終止符が打ち、ヘムオキシゲナーゼによるヘム水酸化活性種はハイドロパーオキソ型ヘムであることを決定した。
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Research Products
(4 results)