2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能を負に制御する細胞間信号伝達システムCD47-SHPS-1系の生理機能
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16370057
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
的崎 尚 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
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Keywords | 細胞間シグナル伝達 / SHPS-1 / CD47 / 神経突起伸長 / マクロファージ機能 / 赤血球 / 貪食 |
Research Abstract |
私共は、これまで蛋白質チロシンリン酸化を介する細胞内シグナル伝達系に関する研究を継続してきているが、その過程において、全く新たな細胞間シグナル伝達システムであるCD47-SHPS-1系を見出している。本研究では、このCD47-SHPS-1系の生理機能と作用機構に関し検討を行った。その成果を以下に、列記する。 (1)海馬神経細胞において、CD47の強制発現により神経突起伸長が刺激された。また、可溶性SHPS-1-Fcの存在下でCD47はfilopodiaとspine形成を誘導した。一方、CD47KOマウスの海馬神経細胞では、神経突起伸長が抑制されていた。CD47の作用は、Srcおよびそれにより活性化されるRac/CDc42を介していることが示唆された。 (2)SHPS-1KOマウスは軽度の貧血を呈し、末梢網状赤血球の増加を認めた。また、SHPS-1KOマウスにおいて、オプソニン化した輸血赤血球のクリアランスの亢進と脾臓マクロファージによる赤血球の取り込みの増加を認めた。さらに、SHPS-1KOマウスより単離した脾臓マクロファージによるオプソニン化赤血球の貪食も野生型に比べ増加していた。これらの結果から、脾臓マクロファージ上のSHPS-1分子は赤血球上のCD47分子と相互作用し赤血球の貪食を抑制することによって、赤血球の寿命、末梢赤血球数などを制御していることが示唆された。CD47-SHPS-1シグナル系を標的とする薬剤は、マクロファージ機能を制御することにより、血液疾患の新たな治療薬となる可能性が考えられる。
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Research Products
(5 results)