2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異マウスおよびメダカを用いた肝形成分子機構の解析
Project/Area Number |
16370059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
荒木 保弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60345254)
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Keywords | MAPキナーゼ / SAPK / JNK / 肝形成 / ノックアウトマウス / メダカ / 細胞死 / 内胚葉 / ストレス |
Research Abstract |
ストレス応答性のMAPキナーゼシグナル伝達系であるSAPK/JNK系を正に制御する2種類の活性化因子SEK1/MKK4やMKK7を欠損するキメラマウスやノックアウトマウスを作出し、本シグナル系が免疫応答や発生の制御に必須の役割を果たしていることを見出した。これらノックアウトマウスは肝形成不全を伴う致死となることから、肝形成にはSEK1とMKK7の両者が必須の役割を果たすことが示された。この解析過程で作製された抗Liv2と命名されたモノクローナル抗体は発生期の肝幹細胞である肝芽細胞を特異的に認識し、肝発生や再生の研究に有用なツールとなることが示された。抗Liv2抗体を用いたノックアウトマウスの定量的な解析から、1)SAPK/JNK系が肝芽細胞の自己複製シグナルとして必須の役割を果たしていること、2)SAPK/JNKは転写因子c-Junを介して細胞周期G2/M期促進因子CDC2の遺伝子発現を調節していること、3)この活性化の誘導には肝細胞増殖因子HGFや腫瘍壊死因子TNFα以外の因子が存在することを明らかにした。これら研究成果から、TNFαがその受容体を刺激すると、細胞死誘導シグナルであるカスパーゼ系の活性化に加えて、生存シグナルであるNFκB系と増殖シグナルであるSAPK/JNK系が活性化されるという経路が明らかにされ、"肝芽細胞が自己複製するか細胞死に至るかの運命決定はこれら3種のシグナル経路のバランスによって制御される"という概念が提示できた。また、肝臓を含む内胚葉系器官形成に関わる分子を網羅的に同定する目的で、遺伝学的な利点を有するメダカを用いた変異体の単離を行った。その結果、内胚葉形成や肝芽形成に影響のある遺伝子変異メダカを複数単離することに成功した。これら遺伝学や逆遺伝学が応用可能な2種類のモデル生物を用いて得られた研究成果は、肝形成分子機構の解明に多大な貢献をすると期待される。
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Research Products
(7 results)