2005 Fiscal Year Annual Research Report
精子の形成と機能におけるカルシウム動員情報伝達系の役割
Project/Area Number |
16370064
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
深見 希代子 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40181242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 由和 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60366416)
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Keywords | 精子 / カルシウム / 受精 / 脂質 / ホスフォリパーゼC |
Research Abstract |
受精においては、カルシウムの上昇が種々のステップで重要な役割を担っている。そこでカルシウム動員系の要の酵素であるホスホリパーゼC(PLC)デルタタイプおよびデルタタイプと非常に構造が似ているゼータタイプの受精における機能解析を行なった。 PLCδ4は、精子先体反応時に細胞内のカルシウム上昇のみならず、細胞外からのカルシウム流入も制御する可能性が示唆されている。そこで第一に、どの様にPLCδ4がカルシウム流入を制御するのか、介在するチャネルなどのタンパク質を同定することを目的として精巣のライブラリーを用いた酵母Two-hybrid法を行った所、glutamate receptor interacting protein 1(GRIP1)がPLCδ4と結合するタンパク質として見出された。GRIP1はグルタミン酸受容体と結合し、このチャネル活性を制御することが報告されている。そこでまず両タンパク質の結合部位の同定を行なった結果、PLCδ4のC2ドメインが、GRIP1のPDZ6もしくはPDZ7ドメインを介して結合していることが明かになった。また両者の結合は精子の成熟の段階によって変化することから、PLCδ4とGRIP1の相互作用が精子形成に関与している可能性が示唆された。 次に受精時の卵での精子由来のカルシウム上昇因子と同定されたPLCzetaのPLC活性と卵でのカルシウム上昇誘導との相関を検討した。種々の構造的変異タンパク質を作成して解析した結果、N端のカルシウムセンサーとして働くEFハンドモチーフとC端の脂質結合ドメインであるC2ドメインを欠損させた場合、PLC活性の喪失と相関してカルシウム上昇活性も失われることが判明した。この結果は、EFハンドモチーフとC2ドメインがPLCzetaの機能に極めて重要であることを示している。さらにブタ精子から卵でのカルシウム上昇活性を指標に精子由来のカルシウム上昇因子の精製を行なった結果、PLCzeta以外の精子由来カルシウム上昇因子の存在が示唆された。
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Research Products
(7 results)