2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ca^<2+>ポンプのエネルギー転換機構ならびに遺伝子異常による細胞病態の分子基
Project/Area Number |
16370066
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50183421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90207267)
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60241428)
加藤 早苗 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80291061)
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Keywords | Ca^<2+>ポンプ / Ca^<2+>-ATPase / 小胞体 / ダリエー病 / ヘーリーヘーリー病 / ゴルジ装置 / Ca^<2+>Mn^<2+>ポンプ / Ca^<2+>Mn^<2+>-ATPase |
Research Abstract |
P型カチオン輸送ATPaseの主要なメンバーである小胞体膜Ca^<2+>ポンプは、ATP加水分解に共役して、Ca^<2+>を数千倍の濃度勾配に逆らい小胞内腔に汲み上げ、細胞のCa^<2+>動態と機能を制御する。ATP加水分解過程では自己リン酸化中間体を形成する。本研究プロジェクトにより、小胞体Ca^<2+>ポンプの細胞質の三つのドメインがCa^<2+>輸送過程で四種の顕著に異なる集合状態を変化すること、そして自己リン酸化中間体の異性化におけるAドメインの90°以上にも及ぶ回転とこのドメインのPおよびNドメインへの強い結合が輸送部位から内腔へのCa^<2+>放出を可能にすること、さらにこれらの変化に必須である構造因子を残基レベルで明らかにすることができた。また自己リン酸化中間体の種々の安定な構造アナログを開発して結晶構造解析に供するだけでなく、これらアナログの構造特性解明と反応過程への帰属により、触媒部位とCa^<2+>放出路の協調した動きがいかに内腔へのCa^<2+>放出と内腔Ca^<2+>の輸送部位へのアクセス(すなわち細胞質への漏れ出し)を制御するかを明らかとした。他方、小胞体Ca^<2+>ポンプ遺伝子異常による病態発症について、ダリエー病で報告された殆ど全ての残基置換および削除変異についてCa^<2+>ポンプタンパクに与える影響を解析し、家系に依存した異なる内容のポンプ分子異常が発症原因となっていることを明らかにした。またCa^<2+>ポンプと同じくP型カチオン輸送ATPaseに属するゴルジ装置Ca^<2+>Mn^<2+>ポンプについて、皮膚組織基底層に特異的に発現・局在していることを発見した。そしてMn^<2+>選択的イオノフォアおよびCa^<2+>Mn^<2+>ポンプのsiRNAによるノックアウト実験により、Ca^<2+>Mn^<2+>ポンプとそれにより設定される基底層角化細胞ゴルジ装置は、角化細胞の分化に必須に機能することを明らかにした。これによりCa^<2+>Mn^<2+>ポンプ遺伝子異常による病態発症の理解のための分子基盤を確立した。
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Research Products
(5 results)