2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の前脳における領域特異性形成と細胞系譜の解析
Project/Area Number |
16370096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70301140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 道生 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (80305002)
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Keywords | 神経発生 / パターン形成 / 領域特異性 / 細胞系譜 / 神経幹細胞 / 前脳 / 終脳 / 視床 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果を受けて次の3課題について解析を進めた。まず、大脳原基における初期領域化のしくみについて、Wntシグナルの強制発現によって終脳の領域性が変化するという昨年度までの知見を受け、内在性のWntシグナル経路が実際に終脳の領域化に関わるかについて検討を行った。その結果、Wntシグナル伝達に関わる因子のうち、シグナルを負に制御する因子、あるいは変異分子の強制発現実験によって、内在性のWntシグナルが終脳の初期の領域化に重要であるとの結果を得た。これに並行して、これまでの結果をより厳密に検討するため、従来用いたマーカー遺伝子に加えて複数の新たなマーカーを単離し、詳細に解析を行って結果に矛盾がないことを確認した。さらに、内在WntとしてWnt8b、Wnt1を候補因子と考え、siRNAによるノックダウン実験を行うための材料、実験条件等の準備を行い、次年度に実行する計画である。次に、視床神経核の形成機構に関し、視床内境界(zli)が一群の神経核前駆細胞の移動を制御していることを見いだし、その詳細について解析を行った。Hes遺伝子ファミリー欠損マウスの掛け合わせによって得られるzliが形成されない個体を解析し、視床原基は正常に形成されること、Sox14発現神経核前駆細胞は正しく誕生するが、zliに沿った移動が見られないことを明らかにした。次に、視床原基の外植体培養、スライス培養を用いた実験系によって、分泌因子のShhに神経核前駆細胞を誘引する作用があることを追加実験を行って確認し、抗体による機能阻害実験から、zliに発現するShhが神経核前駆細胞の移動を制御し、特定の誕生地から最終目的地である神経核形成部位に至る視床の形態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、中枢神経系の神経幹細胞である神経上皮細胞についての細胞生物学的解析を行い、神経分化制御における接着帯の果たす役割、および上記zliのような境界細胞の微細形態、誕生機構についての予備的な知見を得たので、次年度に展開する計画である。
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Research Products
(3 results)