2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を応用した栽培技術の作用機構の解明:深水栽培でのイネの環境応答を例として
Project/Area Number |
16380012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80122919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國分 牧衛 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40323084)
中村 貞二 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70155844)
斎藤 満保 宮城県農業短期大学, 農学科, 教授 (50196010)
中村 聡 宮城県農業短期大学, 農学科, 助教授 (00289729)
根本 圭介 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (40211461)
|
Keywords | イネ / 組み替え近交系 / 茎数 / 最高茎数 / 深水栽培 / 分げつ出現率 / 補償作用 / QTL |
Research Abstract |
東北大学内で,熱研2号×伽耶のイネ組み替え近交系121系統をポットで栽培し,生育調査を行い,また,12葉抽出開始期にサンプルし,後に,分げつの出現節位や形態調査をした.また,宮城農業短大内の水田で,アキヒカリ×IRAT109戻し交配由来組換え近交系106系統を、慣行の方法と深水管理で栽培し,生育調査と収穫後に収量関連形質を調べ解析を行った.両系統とも,東大アジア生物資源環境センターで育成されたものである. ポット栽培の結果,茎数QTLが7つ,分げつ出現率QTLが7つ検出でき,そのうち3つのQTLが重なっており,そこから茎数と分げつ出現率の関係を検討した.水田栽培からは,最高茎数のQTLは第3,5,12染色体に,稈断面積のQTLは第2,5,6染色体に検出された.これらのうち、第5染色体の最高茎数QTLと稈断面積QTLは同一遺伝子の多面発現と見られ(アキヒカリのアレルが最高茎数を減らすとともに稈断面積を大きくしていた)、この最高茎数QTLは稈の太さに強い補償作用をもっているものと考えられた.また,最高茎数および稈断面積の深水応答に関するQTLを調べた.[深水区の最高茎数]/[慣行区の最高茎数]のQTLは,第5染色体最高茎数QTLと同一領域に検出された.このQTL領域には、[深水区の稈断面積]/[慣行区の稈断面積]の強力なQTLも検出され,IRAT109のアレルが,深水による分げつ抑制と稈の肥大効果を高める方向に作用していた.この結果から、第5染色体の最高茎数QTLは,稈の太さへの強い補償作用をもつQTLであるとともに,深水応答に関して大きなアレル間差を持っていることが明らかとなった.
|