2004 Fiscal Year Annual Research Report
減耕起栽培による土壌生態系の変化とその環境保全型作物生産への活用
Project/Area Number |
16380013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中元 朋実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50180419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
岡野 正豪 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター, 業務科長(研究職) (50355335)
江波 義成 滋賀県農業総合センター, 環境部, 主任主査(研究職)
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Keywords | 不耕起栽培 / 土壌生物 / リターバッグ |
Research Abstract |
平成16年度の試験は主として東北農業研究センター福島キャンパス(福島市:黒ボク土)内の圃場で行った.過去約10年間にわたり不耕起栽培を継続した圃場に,不耕起(NT)区と耕起(CT)区(深さ20cmのロータリー耕)を設け,春作および秋作の2回のハクサイの栽培を行った.なお,除草剤の使用により雑草発生を抑えたためNT区とCT区に収量差はなかった.ハクサイの生育期間中に,深さ0-10cm(上層)と10-20cm(下層)の土壌を採取し調査を行ったところ,上層においてはNT区で微生物バイオマスが大きく,ヒメミミズ,ミミズの個体密度が高いこと,下層においてはCT区で微生物バイオマスが大きく線虫が多いことが明らかになった.さらに,マメ科(シロツメクサ)とイネ科(コムギ,ソルガム)のリターを3種のメッシュサイズ(0.02mm,0.19mm,1.5mm)のリターバッグにつめ約1ヶ月後に分解程度を調査した.リターの分解速度は,上層ではCTに比べてNTで高かった.また,上下層どちらの深さにおいても中間のメッシュサイズである0.19mmのリターバッグにおいて分解速度が高かったが,これはこのメッシュサイズによりバッグに侵入する小型節足動物が適度に抑制されることで腐植連鎖が促進されたためと考察された.以上,不耕起栽培の土壌表層付近では,微生物バイオマスの増加に対応した小型,中型土壌動物数の増加は認められず,体の大きな動物ほど耕起による負の影響を受けやすいという従来の多くの研究とは異なった結果がえられたが,リターの分解が速く物質循環機能が強化されることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)