2005 Fiscal Year Annual Research Report
減耕起栽培による土壌生態系の変化とその環境保全型作物生産への活用
Project/Area Number |
16380013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中元 朋実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50180419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
岡野 正豪 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター, 業務科長(研究職) (50355335)
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Keywords | 不耕起栽培 / 土壌生物 / 土壌微生物バイオマス / ミミズ / リターバッグ |
Research Abstract |
平成17年度の研究は以下の分野について行った. 1.微生物バイオマスを簡易に推定することを目的に,直接検鏡による細菌と糸状菌の菌体積の測定法の検討を行った.土壌(黒ボク土)とリターを材料に,主としてホモジナイザーの回転速度や処理時間によって,細菌の分散や糸状菌菌糸の断片化がどのように異なるかを調査し,検鏡に適した試料を作成する条件を設定することができた.この方法によって求めた,細菌バイオマスの糸状菌バイオマスに対する割合は,土壌では約1,リターでは<0.1であった. 2.ミミズの個体密度の推定にあたって,定期的に地表に残される糞を採取しその重量を測定する方法を検討した.小プロット(4.5m×6m)内のミミズの分布のばらつきは大きくなく,1m×1mの範囲の糞を週に1回調査することで,プロットのミミズのバイオマスを推定することが可能であった.推定の精度を高めるためには,さらに実験が必要である. 3.圃場試験は東北農業研究センター福島キャンパス(福島市:黒ボク土)内の圃場で行った.不耕起区と耕起区(深さ20cmのロータリー耕)を設け,春作および秋作の2回ライムギの栽培を行った.深さ0-10cmの土壌層を調査したところ,不耕起によって,微生物バイオマスが大きく,ヒメミミズ,ミミズの個体密度が高く保たれることが分かった.いっぽう,線虫の個体密度は耕起区で高く,ダニやトビムシの個体密度も耕起区で高くなる傾向にあった. 4.土壌生物が有機物分解に与える影響に関しては,リターバッグ法によって,埋設リターの分解速度を経時的に調査した.リターの分解速度は不耕起区で大きく,これには微生物,ヒミミミズ,ミミズの寄与の大きいことが示唆された.
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Research Products
(2 results)