2005 Fiscal Year Annual Research Report
花色発現機構の光学的解明と花色関連遺伝子導入による多彩化
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16380026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 孝洋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40173009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 宗孝 京都大学, 農学研究科, 助手 (40301246)
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Keywords | Begonia rex / 金属光沢 / 葉 / 色素 / 表皮細胞 / 構造 / 質感 / 分光反射 |
Research Abstract |
本研究年度においては,花や葉の特徴的な質感の1つであるメタリック(金属光沢)について,それを発現させる組織の形態的・構造的特徴を明らかにしようとした.材料には,葉が強い金属光沢をもつベゴニア・レックス(Begonia rex)を用いた.備品で購入したマイクロスコープを用い,葉の外部形態ならびに内部構造を顕微観察した.得られて知見は以下のとおりである. 1.金属光沢の実体:金属光沢域では照射光の大半が表皮細胞底面付近で強く反射し,上面からの観察では細胞の接触面が網目状に強く光っていた.小さなスポットに見える細胞表面の反射光と合わせて,白色と緑色のコントラストが細かい模様で現れる.これが肉眼では銀色の金属光沢に見えるものと思われた.金属光沢域の境界部の細胞壁が強く光ることに関しては,それらが光ファイバーのように光を誘導する働き(piping effect)があると考えられる.この点に関しては,樹脂切片を作成してさらに詳しく観察する予定である.また,我々の眼に金属光沢に見えることを明らかにするには,人間の視覚メカニズムも合わせて考察する必要があると考えられた. 2.表皮細胞の形態(マイクロスコープ観察):金属光沢域の表皮細胞は緑色域の細胞に比べて小さく,平坦であった.したがって,金属光沢域の方が表面反射の強度が高くなった. 3.組織の構造(生切片による観察):最も大きな差異は緑色域と金属光沢域の柵状細胞以下の細胞間隙の大きさであった.緑色域では細長い柵状細胞が密に配列しており,光をさらに葉内深くへと誘導することに貢献しているものと考えられた.一方,金属光沢域では細胞間隙が多く,入射光と反対の表皮細胞方向への光の反射率を高めていると考えられた. 4.葉緑素溶脱後の分光反射強度:葉緑素を取り除いた葉組織を比較した結果,金属光沢域の方が緑色域より構造的により多くの光を反射していることが分かった.
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Research Products
(1 results)