2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 雄一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60183125)
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Keywords | 植物ウイルス / タバコモザイクウイルス / 細胞間移行 / GFP / リアルタイム / 植物免疫 / タバコ / 抵抗性反応 |
Research Abstract |
移行タンパク質(MP)は、タバコモザイクウイルスの感染した細胞内で、感染4-14時間後に合成される。MPがウイルスの移行に関わる機構を探る意味で、GFPと融合したMP(MP:GFP)を発現するウイルスを作成し、このウイルスの細胞間移行について解析を継続してきた。本年度は、MP:GFPが構成するVMCについての解析を進めた。VMCが隣の細胞へと移行する前、最初の感染細胞内の輸送経路について、brefeldin A(BFA)という小胞体-ゴルジ体輸送を阻害する薬剤を用いて解析をした。 もともとMP:GFPを発現するウイルスが、感染後期になると、tubular structure(管状構造)をなし、ウイルスの移行実態であるVMCの通過している姿であると思われていた。しかし、この考え方は間違いであることを本年明らかとした。理由は:1.今回BFAを添加したウイルス感染組織においても,ウイルスは原形質連絡を移行して、周囲の細胞へと移行できる。2.その条件下ではMP:GFPウイルスが、BY-2プロトプラストに感染しても、tubular structure(管状構造)を示さない。我々の先行研究の結果も含めて考察すると、アクチンなどの細胞骨格のうえをVMCの構造体が、ある種の方向性をもって移動し、原形質連絡へと到達する。そして、隣の細胞へと移行できるものと考えられる。 本年度は合わせて、VMCの移行を細胞内でおさえる植物側の抵抗性反応を知る目的で、RNAサイレンシング機構を念頭に置いた。その現場となるP-bodyの解析を行った。Decapping enzyme 1,2という遺伝子産物がP^bodyを構成することを、明らかとした。このP-bodyがどのようにウイルス感染時にVMCの動きと対処するのかを、次段階として解析する実験的舞台が整った。
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