2006 Fiscal Year Annual Research Report
核多角体病ウイルス感染による宿主DNA複製の制御機構解析
Project/Area Number |
16380040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 素子 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (20262892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 迪弘 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (60111837)
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Keywords | 核多角体病ウイルス / アポトーシス制御 / Tn368細胞 / Tn-caspase-1 / アポトーシス誘導因子 |
Research Abstract |
Autographa californica核多角体病ウイルス(AcmmPV)がゲノムにコードしているP35タンパク質は,エフェクターカスパーゼ活性を阻害し,感染細胞のアポトーシス誘導を阻止する.ところが,Tn368細胞では,p35遺伝子が欠損したAcMNPVを感染させてもアポトーシスが起こらない.この原因を探る目的で,細胞にTricoplusia niのエフェクターカスパーゼであるTn-caspase-1を発現させて,ウイルス感染にともなうTn-caspase-1のプロセシング様相を調査した.その結果,Tn368細胞はAcMNPV P35と同様の活性,すなわちTn-caspase-1の中間型から活性化型へのプロセシングを阻害する活性を持つことがわかった.さらに,感染後期のTn368細胞は,エフェクターカスパーゼ活性が上昇するにもかかわらず,アポトーシスの形態的特徴を示さなかったことから,Tn368細胞はカスパーゼの活性化よりも下流でアポトーシス誘導を阻止する活性を持つことが示唆された.以上の結果から,宿主細胞に備わ旨っているアポトーシス制御機構がNPVの宿主域決定に関連していることを示唆した.さらに,宿主細胞DNA複製停止とアポトーシス誘導の関連を明らかにする目的で,イニシエーターカスパーゼおよびアダプター因子を含む種々のアポトーシス誘導因子をカイコ培養細胞から同定した.今後,ウイルス感染にともなうアポトーシス誘導因子のプロセシングや発現変動を調査することによって,宿主DNA複製停止とアポトーシス誘導の関連が明らかになることが期待される.
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Research Products
(4 results)