2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機塩素系農薬を30年間連用した畑土壌からの新規脱塩素遺伝子・酵素群の単離
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16380047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 雅也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50263801)
大塚 重人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (10313074)
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Keywords | 土壌 / 農薬長期連用圃場 / γ-HCH / γ-BHC / 脱塩素遺伝子 / lin遺伝子群 / 土壌微生物 / 生態系修復 |
Research Abstract |
有機塩素系農薬長期連用圃場の過去の研究において、土壌の植物遺体画分は脱塩素遺伝子を保有する微生物が集積している場であることが予想されていた。そこで本年度は、土壌の植物遺体画分に生息する土壌微生物からγ-BHC分解系遺伝子群を保有する微生物の探索を試みた。また、植物遺体画分から直接抽出したDNAを用いて、PCRベースにより多様なγ-BHC分解系遺伝子群を単離することを試みた。 土壌にγ-BHCを添加して培養した後に植物遺体画分を回収し、その希釈液を各種培地に塗布・培養してコロニーを形成させ、コロニーから抽出したDNAを鋳型としてlinA〜E遺伝子を標的とするPCRを行った。しかしながら、これらの遺伝子を保有するコロニーは見出されなかった。また、回収した植物遺体から直接抽出したDNAを鋳型として同様にlinA〜E遺伝子を標的とするPCRを行ったところ、増幅産物が得られた場合もあったが偽陽性のバンドであることが多く、lin遺伝子の相同配列は見出されなかった。 そこで、土壌全体から抽出した土壌DNAをPCRの鋳型とすることに方針を変更した。農薬長期連用圃場の各区の土壌から直接DNAを抽出し、linAを標的としてPCRを行ったところ、いずれの区のDNAからも増幅産物が得られた。シーケンスの結果、linA相同遺伝子であることが分かり、また、γ-BHC分解菌Sphingobium japonicum SS86のlinAと数塩基異なる多様性が見られた。BHC区土壌にBHCを添加して培養した土壌から抽出したDNAからは、SS86株や昨年度単離したSS04-1〜5株の有するlinAとは数塩基配列が異なるlinAが得られた。以上の結果から、農薬連用圃場の土壌にはこれまでに単離されたBHC分解菌以外にもlinA相同配列を保持する微生物が存在すること、さらにそれらのlinAには多様性があることが示された。
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