Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 武志 神戸大学, 農学部, 助手 (10321952)
川東 正幸 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60297794)
米林 甲陽 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (00046492)
柳 由貴子 南九州大学, 園芸学部, 講師 (20412819)
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Research Abstract |
本研究は,地球表層環境中に普遍的に存在する最も主要な有機態炭素である腐植物質の重要性を啓蒙するため,その実体を視覚的にアピールできる化学構造モデルの構築を目的としている。多様性と多分散性の両側面から解析するために,多様性については起源物質や生成環境の異なる多種多数の試料を,多分散性については各種分画法で細分画して多分散性を減少させた試料を調達し,NMR分析法などをもとに化学構造を解析することで,多分散性と多様性を包括した構造モデルを提示する計画である。本研究の遂行には分析試料の早期調達が必須であるため,初年度(16年度)から本年度にかけては,試料調達を中心におこない,本年度は特に採取が困難な河川・湖沼の試料と土壌の水溶性試料を重点的に収集した。初年度に加えて安曇川,十勝川,筑後川の源流,上流,中流,下流で同時に採取した試料,および,不動川と琵琶湖の季節別に採取した試料を調達した。他に巣之浦川など42試料を補填し,河川・湖沼の水系腐植物質の総数を100以上とした。土壌腐植の120試料とならんで充分な試料数にもとづいた基本分析データ(NMR,元素分析,HPSECなど)が収集できた。土壌の水溶性腐植試料は総数25点,堆肥の腐植試料は42点となり,分取HPSECによる細分画(多分散性減少)試料も含めて,当初予定の試料数と種類,およびそれらの分析値の80%以上が確保できた。これらをもとに,水系腐植試料のNMR解析では,脂肪族炭素領域の特定ピークの相対強度比を算出することで類型化が可能となることを見出した。また,土壌と水系腐植物質の本質的相違性と同一性が明らかになり,河川源流の腐植は土壌腐植と構造化学的側面からみて関連性が高いことも明らかになった。
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