2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規リジン生合成酵素群の構造機能相関と分子進化解析
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16380056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (00208240)
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Keywords | Thermus属細菌 / リジン生合成 / 基質特異性 / X線結晶構造解析 / 分子進化工学 |
Research Abstract |
第5番目の反応を触媒する酵素αアミノアシピン酸アミノ基転移酵素について、これまで基質である2オキソアジピン酸以外に、分岐鎖アミノ酸の前駆体も良好な基質とすることが明らかにしてきたが、さらにこれまでは明らかでなかった芳香族アミノ酸に対しても高い活性を示すことを明らかにした。また、これまでに同酵素の結晶を作製し、筑波の高エネルギー加速器研究機構の放射光を用いて、高分解能での結晶構造を決定していたが、さらに基質複合体の構造を決定することに成功した。基質結合部位中心付近の構造から、全体として疎水性が高いものの、基質結合部位を覆うフレキシブルな領域が存在し、それが同酵素が多くの化合物を基質とできる構造的要因となっていることが明らかとなった。 第4番目の反応を触媒する酵素ホモイソクエン酸脱水素酵素については、進化分子工学的研究を行った。大腸菌のロイシン生合成酵素である3-イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素欠損株の最少培地での生育欠損を相補することを指標として、3-イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素へと基質特異性を変換することに成功した。そのうちの最も3-イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性が高かった改変体は8つのアミノ酸置換を有していたが、基質認識部位近傍に存在する置換はわずか2つであった。個々のアミノ酸置換の効果を部位特異的変異で解析した結果、どれもが基質特異性変換に効果があることが明らかとなった。 第2,3番目の反応を行うと考えられていたホモアコニターゼについて性質を調べた結果、同酵素は第3番目のシスホモアコニット酸からホモイソクエン酸への変換反応を可逆的に行えるが、第2番目のホモクエン酸からシスホモアコニット酸への反応を正逆両方向ともに触媒することができないことが明らかとなった。その反応を行うものとしてトリカルボン酸回路のアコニターゼが候補として浮上した。
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Research Products
(2 results)