2005 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌より発見した新奇な糖脂質の機能と合成経路の解明及び抗生物質探索への応用
Project/Area Number |
16380063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 憲二 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源工学研究所, 講師 (70346104)
杉田 睦海 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20024937)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / Mucor属 / ガラクトシルセラミド / ガラクトース転移酵素 |
Research Abstract |
前年度において、真菌類の菌体の膜構成成分として重要なスフィンゴ糖脂質の生合成を阻害する抗生物質Aureobacidin Aがケカビ糸状菌の生育を全く阻害しないことを見出し、そのスフィンゴ糖脂質の生合成がイノシトールリン酸セラミドを中間体とする生合成系とは全く異なる新しい生合成系で合成されることを見出すと共に、その中間体がセラミド脂質にガラクトースが2〜5残基結合した新奇な糖脂質であることを発見している。本年度は、Mucor hiemalisにおける本合成経路を確認するために、その中間体の解析と生合成に関わる酵素の遺伝子クローニングを試みた。先ず、本生合成系に関わる酵素の所在を調べるためにM.hiemalisの培養菌体からミクロソーム画分を超遠心分離によって調製した。本画分中にはスフィンゴ糖脂質が内在しており、糖供与体としてラベルしたUDP-ガラクトースを添加して反応したところ、セラミド脂質にガラクトースが1〜4残基結合したスフィンゴ糖脂質が生成することを薄層クロマトグラフィーによって確認した。とりわけ、ガラクトースが一残基のみ結合するガラクトシルセラミドについては以前より、薄層クロマトグラフィーによって検出することができなかったが、ラベルした糖供与体を用いることによって、生成物として同定することができた。これらの結果より、新奇なスフィンゴ糖脂質を生合成する酵素群はミクロソーム画分に存在することが確かめられた。そこで、ガラクトシルセラミド合成酵素についてその活性を調べたところ、マンガンやマグネシウムなどの二価カチオンを加えることによって著しく活性が高められることが明らかになった。さらに酵素反応の至適pHや至適温度などを明らかにした。一方、本酵素の遺伝子クローニングを行うことを目的としてマウス由来の酵素のアミノ酸配列を基にしてプローブを作成し、M.hiemalisのcDNAライブラリーのスクリーニングを行ったが相同性のある遺伝子を見つけることはできなかった。
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