2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳の脂質恒常性に関与するATP依存トランスポーターの分子基盤
Project/Area Number |
16380070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 和光 京都大学, 農学研究科, 教授 (10151789)
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Keywords | コレステロール / ABCタンパク質 / トランスポーター / ABCA1 / ATPase / α1-シントロフィン / アルツハイマー病 / 脳 |
Research Abstract |
本年度は、脳内のコレステロール恒常性維持メカニズムをトランスポーターの観点から明らかにすることを目的に、ABC蛋白質の生理機能および分子メカニズムを中心に研究を行い、以下のことを明らかにした。 (1)ABCA7の脳内での発現部位を明らかにするため、特異的抗体を作成した。 (2)脳内で発現しているABCタンパク質であるABCA7がアポタンパク質依存的にリン脂質とコレステロールを輸送することを明らかにした。 (3)脳内で発現しているABCタンパク質であるヒトABCG1とABCG4のcDNAを単離し、安定発現細胞を樹立した。これらのABCタンパク質の生理的役割を明らかにする準備が整った。 (4)PDZタンパク質であるα1-syntrophinとLin-7が、ABCA1と相互作用することを見出した。マウス脳を用い、抗α1-syntrophin抗体を用いた免疫沈降実験によりα1-syntrophinとABCA1が脳内で相互作用していることを明らかにした。培養細胞を用いた実験から、α1-syntrophinはABCA1のC末端の数アミノ酸と強固に結合すること、共発現はABCA1の分解を抑制し、ABCA1の半減期を約5倍長くすることを明らかにした。Lin-7にはこのような効果は見られなかったことから、α1-syntrophinは特異的にABCA1の分解を抑制していると考えられる。 (5)ABC蛋白質のATPase活性を高感度で測定するためのマイクロアッセイ系の確立した。ATP加水分解反応によって生じたADPをTiOカラムによって分離、定量することによって、従来の方法の約20倍の感度を達成した。
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Research Products
(6 results)