2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳の脂質恒常性に関与するATP依存トランスポーターの分子基盤
Project/Area Number |
16380070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 和光 京都大学, 農学研究科, 教授 (10151789)
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Keywords | ABCタンパク質 / 脂質 / トランスポーター / 脳 / コレステロール / アルツハイマー病 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
本研究では、脳内のコレステロール恒常性維持メカニズムをトランスポーターの観点から明らかにすることを目的に、ABC蛋白質の生理機能および分子メカニズムを中心に研究を行った。 精製ABCA1を人工リポソームに再構成した結果、ABCA1はホスファチジルコリンを多く含んだリポソームに再構成すると最も強くATP加水分解活性が誘導されることが明らかになった。ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロールを含むリポソームで再構成すると、それらの含量が増えるにしたがって活性が減少した。また、脂肪酸鎖ではオレイン酸とパルミチン酸をもつホスファチジルコリンを含むリポソームに再構成したときに最も高い活性を示した。これは、ABCA1によって細胞外へ排出される脂質を質量分析によって分析した時に、一番高濃度に検出される脂質であった。以上の結果は、ABCA1がオレイン酸とパルミチン酸をもつホスファチジルコリンを最適な基質として認識し輸送していることを示唆している。ABCG1はABCA1と協調してHDL形成に関わっていることが示唆されているが、その機能は不明であった。ABCG1に2種類のタグを融合しHEK293細胞に発現させることによって、ABCG1がホモ2量体として細胞膜に発現することが明らかにした。確立した細胞系を用いて、ABCG1による脂質輸送活性を検討した結果、ABCG1は培地中にapoA-Iを加えた時でなく、HDLを加えた時にリン脂質とコレステロールを細胞から効率よく排出することが明らかになった。さらに培地中に排出された脂質の分子種を質量分析によって解析した結果、ABCA1がホスファチジルコリンを主に輸送するのに対して、ABCG1がスフィンゴミエリンを輸送することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)