2006 Fiscal Year Annual Research Report
核-葉緑体複合ゲノム系におけるゲノム間相互作用の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
16380074
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 秀夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90013333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 直人 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70297795)
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Keywords | 葉緑体 / シグマ因子 / 遺伝子 / 発現調節 / 光合成 |
Research Abstract |
高等植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の核コード葉緑体RNAポリメラーゼ(SIG)は、プラスチドの発生や分化に重要な働きをしていると考えられている。シロイヌナズナ標準株であるCol-0(JA58)で見出されている6個のSIG遺伝子の中でSIGSについては温度、乾燥、日照、あるいは塩濃度などの環境条件の変化によって発現量が変動することから、ストレス応答性の葉緑体シグマ因子遺伝子と考えられる。本研究は、SIG5遺伝子と環境ストレスとの分子遺伝学的な関係を明らかにすることを目的に行われた。そのために、寒冷地、温暖乾燥地、熱帯湿潤地帯等、世界の各地において分離・保存されているシロイヌナズナ株(ここでは自生系統株と呼ぶ)についてSIG遺伝子の構造的・機能的な解析を行っている。シロイヌナズナ系統保存株についてストレス応答性についRT-PCR法を用いて調べた。一過的に強光下に置き、茎、葉よりRNAを抽出し、SIG5転写産物検出用のプライマーを用いて、特異的RNA量を調べた。その結果、調べたいずれの系統保存株においてもほぼ同じ強光応答性の発現増強が認められた。野生植物や栽培植物におけるSIG遺伝子の構造とその役割について明らかにするために、いくつかの植物よりゲノムDNAを精製し、SIG保存領域よりPCRプローブを設計し、増幅の有無を調べた。SIG5領域の増幅の見られた植物の内、ダイズ(Max glycine)について詳しい解析を行った。SIG5のcDNAクローンの作成と解析を行った。その結果、ダイズのSIG5遺伝子の全長に対応するcDNAが得られた。また、得られたcDNAの塩基配列の解析から、およびサザン解析からダイズゲノム上には少なくとも2つのSIG5ホモログが存在することが明らかになった(SIG5A,SIG5B)。対応するSIG遺伝子産物のN末端領域の配列の違いから、それぞれミトコンドリアとプラスチドにターゲットされる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)