2005 Fiscal Year Annual Research Report
農業生態系の化学的制御に関わる各種生態相関物質の合成と新規農薬リード化合物の探索
Project/Area Number |
16380075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 重文 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30170145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 洋正 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30234397)
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Keywords | pteridic acid / communiol / pyricuol / Drosophila / pheromone / gizzerosine / synthesis / chemicalecology |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,農業生態系における生物間の相互作用に関わる各種の生態相関物質の合成を実施した。まず,ワラビに着生する放線菌が生産し,植物に対して植物ホルモンであるインドール酢酸と同等以上の不定根形成促進作用を示すスピロアセタール型オクタケチド化合物であるpteridic acid AおよびBの全合成を実施した。チオールエステルを用いるアセチレンカップリング反応により,以前の合成を大幅に改良したpteridic acid Aの新規合成法を開発するとともに,スピロアセタール型合成中間体のルイス酸触媒によるエピマー化に成功して,pteridic acid Bの合成も達成した。馬糞中に生息するカビ(Podospora communis)が生産するテトラヒドロフラン型抗菌物質であるcommuniol A-Gの内,まずA-Cの全合成を達成した。さらに,より複雑な化学構造を有するcommuniol Dについて,分子内Michael付加反応を用いた効率的な全合成を達成するとともに,不飽和アルデヒド型側鎖を有するcommuniol Hの全合成も達成した。本合成研究により,communiol A-DおよびHの立体構造決定の誤りを指摘することができた。いもち病菌が生産し,イネに対していもち病様の病態を強力に誘導する植物毒素であるpyricuolの合成を実施し,短工程で光学活性体を全合成することに成功するとともに,未知であったpyricuolの絶対立体配置を決定した。また同時に,pyricuolの生合成経路に関する提案を行った。ショウジョウバエ類のクチクラ層に存在する炭化水素系の性フェロモンの合成研究を実施した。従来の合成法の問題点を考察することにより,短工程で且つ最終生成物の化学純度も高い新規合成法の開発に成功し,種の分化に関わる遺伝生物学的基礎研究のための標品の供給を行った。魚粉に含まれ,ニワトリの砂肝に胃潰瘍を生じさせるgizzerosineの効率的合成法の開発に成功し,応用研究のため標品の供給を行った。
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Research Products
(6 results)