2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジグリコシダーゼの触媒機構の解明から植物β‐グルコシダーゼの分子進化をたどる
Project/Area Number |
16380079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授 (20087563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
加藤 博章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (90204487)
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Keywords | ジグリコシダーゼ / βプリメベロシダーゼ / フルカチンヒドロラーゼ / ビシアニンヒドロラーゼ / ファミリー1 / カラスノエンドウ / ムシカリ / グリコシルアミジン / チャ葉 |
Research Abstract |
植物には単糖配糖体以外に、β-グルコシドの6-位の水酸基に様々な単糖がβ-1,6結合した二糖配糖体や、6-位にアシル基が結合した6-位置換β-グルコシドが多数見出されている。これらの6-位置換の生理的意義が不明なところが多い二糖配糖体を、二糖とアグリコンに加水分解するジグリコシダーゼとして、我々はこれまでにチャ葉由来β-プリメベロシダーゼ(PD)とムシカリ由来フルカチンヒドロラーゼ(FH)を研究し、PIとFHはファミリー1グリコシダーゼに属するにもかかわらず、単糖配糖体を加水分解しない非常にユニークなβ-グリコシダーゼであることを明らかにした。本研究では、これらのジグリコシダーゼをモデルとして、(1)ジグリコシダーゼの基質認識と触媒機能の解明、(2)植物ジグリコシダーゼファミリーの確立、(3)植物のファミリー1β-グリコシダーゼの分子進化の解析、を目的として研究を展開し、下記の成果を得た。 1)ジグリコシダーゼの基質認識と触媒機能の解明:PDとFHに続いて、カラスノエンドウ(Vicia angustifolia)からvicianinを加水分解するビシアニンヒドロラーゼ(VH)を精製し、cDNAを単離した。昆虫細胞系で発現させた組換えVHは、vicianinを二糖とアグリコンに加水分解し、ファミリー1に属することが明らかとなった。種々の基質を用いて、PD、FHおよびVHの3種のジグリコシダーゼの基質特異性を明らかにした。 2)糖タンパク質であるPDは昆虫細胞発現系を用いて大量発現させた。合成により得たプリメベロースをグリコシダーゼ阻害活性を示す新規なグリコシルアミジン誘導体に導き、それをリガンドとしたアフィニティー吸着体がPDの精製に効率良く利用できることを明らかにし、この吸着体を用いて、PDを大量に得る方法を確立した。これを用いてX線結晶構造解析に向けての単結晶の調製を試み、糖鎖をマンノシダーゼでトリミングしたタンパク質がかなり良好な結晶を与えることが明らかとなった。 3)アミノ酸配列を元に系統樹解析を行った結果、PD、FHとVHは互いに近傍に位置し、これらジグリコシダーゼはβ-グルコシダーゼから進化して新しい機能を持つようになったことが示された。 4)PD検出用に調製したポリクロナール抗体やpNP β-primeverosideを用いた活性試験を利用して、数種の植物の粗酵素標品について調べ、ジグリコシダーゼが相当に広く植物界に分布していることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(4 results)