2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の生体防御システムに基づいた樹木治療技術の確立に関する研究
Project/Area Number |
16380096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 利博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30332571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 健二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30208954)
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90092139)
光永 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (20219679)
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Keywords | 樹木 / 防御反応 / 傷害 / ストレス / 病原菌 / 治療 / 変色腐朽 / 衰退 |
Research Abstract |
まず病変の非破壊検査法を検討した。アカマツ苗にマツノザイセンチュウを接種しMR(核磁気共鳴)マイクロスコープにより観察した。病徴前期の1〜2週間は点状のキャビテーションの発生、拡大が観察され、病徴進展期に入るとキャビテーションは急激に拡大、癒合して形成層に達した。キャビテーションは、アコースティックエミッションの急激な増大、水ポテンシャルの急激な低下、茎の収縮と同調し、病徴進展過程が非破壊的な連続観察によって証明された。スギ苗に暗色枝枯病菌を接種し中性子ラジオグラフィ(NRG)で非破壊的に観察したところ、乾燥した病変部が時間の経過により拡大したこと、病原菌の病原力の違いによる病変部の大きさの差が認められた。 次に病変の拡大に対する季節やストレスの影響を調べた。季節を変えて断幹したシラカシで傷害1〜2年後の材腐朽状況をγ線を用いて診断したが、いずれの季節の処理でもまだ腐朽が進展していなかった。水ストレスを加えて暗色枝枯病菌を接種したスギでは材変色の進展が著しく、水ストレスは病原菌の病原力よりも大きな影響を及ぼすことがNRGで明らかとなった。 病原菌の存在の影響としては、ナラ枯れをモデルに基本的な指標、反応を調べた。感受性の異なるブナ科4種に萎凋病菌Raffaelea quercivoraを接種した。非通水域は接種3〜14日後まで拡大傾向で、その後横ばいとなった。材変色域の形成時期は樹種により差異があったが接種後7〜21日の範囲で、その後横ばいとなった。材変色域は最終的に非通水域の大きさと一致した。非通水域、材変色域はミズナラが最も大きく、アラカシが最も小さく、感受性の差異と一致した。浸水処理によるミズナラ丸太の揮発成分が萎凋病菌媒介虫を誘引することが明らかとなり、エタノール、リモネン等が行動に関与すると考えられた。樹皮からは誘引物質としてタキシホリングルコサイドが単離された。
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Research Products
(19 results)