2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の生体防御システムに基づいた樹木治療技術の確立に関する研究
Project/Area Number |
16380096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 利博 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 健二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (30208954)
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90092139)
光永 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (20219679)
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Keywords | 樹木 / 防御反応 / 傷害 / ストレス / 病原菌 / 治療 / 変色腐朽 / 衰退 |
Research Abstract |
病変の非破壊検査法としては、中性子ラジオグラフィを用いたCT解析を進めた結果、傷害処理を行った苗木、枝について、殆どの樹種において明瞭な防御組織の形態が観察でき、傷害部周辺の水分分布について針葉樹と広葉樹との間の差異と防御組織形成とで関連がないことが明らかになった。また、針葉樹のマツでは萎凋病の進展期にMRIで観察された通水阻害ではアコースティックエミッション測定から連鎖的なキャビテーションによることが示された。 傷害に伴う病変の拡大に対する季節の影響では、春から夏の傷害で病変の拡大が著しかった。それに対し、病原菌が関わったときの病変の拡大に対する季節の影響では、Raffaelea quercivoraを接種した感受性の異なるブナ科樹木3種の苗木に対し7〜12月に1点接種を行い、接種1ヵ月後に非通水域の大きさを樹種間・接種時期間で比較したところ、感受性が中位のコナラと低いスダジイは8月接種で非通水域が最も大きくその後減少傾向を示したのに対し、最も感受性の高いミズナラの非通水域はいずれの接種時期でも大きな変化は無く、菌に対する感受性の違いにより挙動が異なることが明らかになった。 ブナ科樹木の防御に関わる物質探索では、R.quercivoraに対して防御層を形成したミズナラ材の被害部、防御層、移行帯、健全辺材の抽出物のHPLC分析を行った結果、防御層では健全辺材でみられなかったエラグ酸やガリック酸、カフェー酸に類似したUVスペクトルを持つピークを観察し、フェノール類の増加が示唆された。また、防御層や被害部のクロマトグラムは心材のそれと類似しており、感染によって心材化類似の変化が起こったと考えられた。
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Research Products
(9 results)