2006 Fiscal Year Annual Research Report
大都市住宅密集地域の切盛斜面の大地震時地すべり予測と災害軽減対策の研究
Project/Area Number |
16380101
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40252522)
汪 発武 京都大学, 防災研究所, 助手 (10324097)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助手 (50372553)
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Keywords | 地すべり / 大地震 / 切盛土斜面 / 運動シミュレーション / 現地調査 / リングせん断試験 / すべり面液状化 / ハザードマップ |
Research Abstract |
平成16年新潟県中越地震により発生した現地調査を行い,緩傾斜の再活動地すべりでありながら高速で長距離運動し,川を堰き止めて地すべりダムを形成した東竹沢地すべり地と寺野地すべり他数カ所の地すべり地の現地調査を実施し、土砂試料を採取した。中越地震で発生した地すべりはシルトの層と砂質土の互層からなる三紀層地すべり地のなかで発生した再活動地すべりがほとんどであるが、高速長距離運動の原因とメカニズムを調べるために、シルト層と砂層の両者からサンプルを採取し、地震時地すべり再現試験を実施した。その結果、シルト層から採取したサンプルは地震力を載荷してもほとんど過剰間隙水圧が発生せず、移動したとしても極めて限られた距離しか移動しないことが見出された。これに対して砂質土層から採取したサンプルに地震力を載荷したところ、大きな過剰間隙水圧が発生し、高速の地すべりが発生することがわかった。また融雪や降雨などの地下水位上昇により地すべりが発生する場合は、シルト層の方が摩擦角が小さいことからシルト層内ですべりが発生することが推定された。すなわち融雪期等に過去に発生した地すべりはシルト層をすべり面として発生し、今回の地震では砂層をすべり面として高速地すべりが発生したことが推定された、これが緩傾斜でありながら,高速運動を示したメカニズムを明らかにすることができた.また、カオリン粘土とシルトサイズの珪砂の混合試料について緩傾斜(0〜20度)の初期せん断応力を与えて繰り返し載荷せん断試験を実施した結果、緩傾斜ほど過剰間隙水圧が発生しやすいことがわかった。 佐々が開発した地すべり運動数値シミュレーションプログラムを用いて、東竹沢地すべり地から採取した土試料に関して行った地すべり再現試験から得られた動的特性パラメターと数値地形情報を用いて、地震時地すべり運動シミュレーションを実施し、地すべり運動範囲の予測を行ない、東竹沢地すべりについて、実際の運動範囲を説明できる結果を得た。また、フィリピンレイテ島で平成18年2月に発生した1000人以上が死亡した地すべりについて現地調査した。帰国後、採取した土砂を用いて地すべり再現試験を行い、この地すべりが、豪雨の5日後に発生した小地震により誘発され得ること、その土塊が高速長距離運動を引き起こすことを実験的に立証した。
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Research Products
(11 results)