2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
SIDLE Roy C. 京都大学, 防災研究所, 教授 (30359781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 誠 京都大学, 農学研究科, 教授 (00314245)
恩田 裕一 筑波大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (00221862)
堤 大三 京都大学, 防災研究所, 助手 (40372552)
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Keywords | 地すべり / 道路侵食 / 土石流 / 掃流土砂運搬 / 森林管理 / 堆積物 / 流出量 / 浮遊土砂 |
Research Abstract |
今年度は、4つの試験流域における水文地形学的な調査に焦点をあてて研究を行った。1.三重県ひのたに池流域では、土砂生産の空間的・時間的分布の関係について調査した。2.滋賀県不動寺流域では、山道が流出量と土砂の運搬に与える影響を評価した。3.三重県宮川ダム流域では、降雨が引き金となる地すべりと土砂を運搬する下方流とのつながりを評価した。4.和歌山県及び奈良県南部の5つの流域では、急勾配の源流域流路において、掃流によって運搬される土砂供給量とその土砂生産の場の近接性の効果について、水生生物の生息地との相互関係も含めて調査した。 ひのたに池流域における土砂生産の場の調査は完了し、雑誌への投稿に向けて準備している。この調査では、ヒノキ林に覆われている現在の地すべり侵食地と以前の植皮状態とを対比して検討した。 不動寺流域での一年にわたる山道での流出観測及び土砂流出データから、山道より高い位置の地形と流出量との間に強い相互関係があることが示された。また、先行する水分量が出水や土砂の発生に対して重要な役割を果たしていることが明らかになった。 宮川ダム流域では、撮影時期の違う7組の航空写真の判読により、1965年〜2000年の間に6600以上の地すべりの発生が確認されているが、ダム湖の堆積物データを用いて、地すべりの発生と流路への土砂の運搬との間には強いつながりが明らかになった。Journal of Geophysical Researchへの投稿論文でこの調査について述べている。さらに、British Columbia大学の研究者とともに、この試験地において水文地形学的な凹地で繰り返し発生する地滑りに関して、その関係を調査した。この共同研究は現在も進行中である。 和歌山県及び奈良県南部の流域からは、掃流による土砂運搬が河道に堆積した堆積物の量によって制御されていることが判明した。つまり、まれにしか発生しない地すべりによる土石流が河道に堆積し、それが再び土砂の供給源になっているのである。一方で浮遊土砂量は、河岸侵食や狭い地域でのかく乱といった現象に、より関連していることが明らかになった。水文地形学的過程や森林管理及び水生生物・有機物の間の興味深い相互作用もまた示され、論文発表の準備中である。
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Research Products
(12 results)