2004 Fiscal Year Annual Research Report
稀少な森林となっている主要針葉樹天然林の保全遺伝学的研究
Project/Area Number |
16380112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
津村 義彦 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 室長 (20353774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 尚樹 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (90343798)
松本 麻子 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (90353862)
伊原 徳子 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究員 (40353594)
舘田 英典 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70216985)
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Keywords | 針葉樹 / 保全 / ゲノム / 集団遺伝 / 遺伝構造 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
ヒノキの天然林集団の遺伝構造を調査する目的で本研究を行った。対象とした集団は北限の福島県いわき集団から南限の屋久島集団までの25集団とした。用いたマーカーはスギで開発したSTSをヒノキに応用したCAPSマーカー51遺伝子座である。これらのほとんどは共優性遺伝パターンを示し、安定した情報量の多いDNAマーカーである。得られた遺伝子型データからヘテロ接合度(He)、allelic richnessを算出した結果、天然分布の端の集団の遺伝的多様性が有意に低い値を示した。北限のいわき集団と栃木県の矢板集団、南限の屋久島集団と宮崎県の小林集団で遺伝的多様性が特に低い傾向にあった。またその他の集団の遺伝的多様性は同程度で大きな違いはなかった。この結果はこれまでに行われている理論研究によくあうものであった(Tajima 1989)。集団間の遺伝的分化(GST=0.039)はこれまでのアロザイムを用いた研究と同じく低いものであったが(Uchida et al.1997)、この分化は統計的に有意であった。遺伝距離をもとにした集団の系統関係も集団の地理的な位置関係を反映していた。また距離よる隔離(Isolation by distance)は明確で、集団間の距離が遠くなるほど遺伝距離も大きくなってく傾向が見られた。連鎖不平衡を計算した結果、3つの集団で特に高い値を示した。これらの集団は過去に過度のボトルネックを受けたか、または他種との競争によって低密度に押さえられているためではなかと考えられた。
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Research Products
(2 results)