2005 Fiscal Year Annual Research Report
藻場と赤潮水域の赤潮藻殺藻細菌相の比較解析、及び藻場の殺藻細菌の赤潮予防への応用
Project/Area Number |
16380131
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 一郎 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (80271013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 紘之 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80026567)
吉永 郁生 京都大学, 農学研究科, 助手 (40230776)
|
Keywords | 赤潮 / 殺藻細菌 / 藻場 / 予防 / 浮遊細菌 / 付着細菌 / デトライタス / 殺藻レンジ |
Research Abstract |
沿岸海域で発生した赤潮の消滅過程において殺藻細菌は重要な役割を演じており,赤潮の予防や駆除等に向け将来の実用化が期待されている。我々は,沿岸域に繁茂する大型海藻の表面に膨大な数の殺藻細菌が付着している事実(時に100万/g湿重のオーダー)を発見し,殺藻細菌の供給源として藻場が重要である可能性を示した。本研究では,藻場水域と赤潮水域の殺藻細菌群を比較し,この仮説の検証を試みる。 本年度は,藻場に生息する細菌をデトライタス付着細菌,浮遊細菌,及び海藻付着細菌に分け,藻場海域に生息する赤潮藻殺藻細菌の生理生態的特徴を対照海域との比較によって明らかにする事を目的とした。兵庫県淡路島由良,福井県小浜市安納,関西国際空港で調査を行い,藻場海域と対象海域(沖合または近傍の藻場でない海域)の表層水を採取し,孔径3μmのフィルター上に捕集された粒子に付着しているものをデトライタス付着細菌,これを通過して孔径0.2μmのフィルター上に捕集されたものを浮遊細菌とした。また,各藻場で優占していた3種の海藻の表面から剥離した細菌を海藻付着細菌とした。各試料につき,寒天平板培養法によって生菌数を算出し,各々30コロニーを無作為に抽出して5種の主要赤潮藻に対する各細菌株の殺藻活性を調べた。 藻場と対象海域を比較した場合,総殺菌数はあまり変わらなかったが,細菌の生息状態に注目するならば,藻場ではデトライタスに付着した細菌の占める割合が対象海域より高かった。単離細菌株による殺藻試験の結果,藻場と対象海域を比較すると藻場に,また生息状態に注目するとデトライタス付着画分に,赤潮生物に対して殺藻活性を示す細菌が高い頻度で検出された。すなわち,藻場のデトライタス付着細菌群に,最も高頻度高密度で殺藻細菌が生息している事が判明した。さらに,藻場の海藻表面からも高密度の殺藻細菌が検出された。
|
Research Products
(2 results)