2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然魚における魚類ノダウイルスの分布とその分子疫学的解析
Project/Area Number |
16380132
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 敏博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (60164117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植松 一眞 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00116542)
冲中 泰 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (80363034)
森 広一郎 (独)水産総合研究センター, 上浦栽培漁業センター, 技術開発官 (10426314)
菅谷 琢磨 (独)水産総合研究センター, 上浦栽培漁業センター, 技術開発官 (30426316)
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Keywords | ベータノダウイルス / ウイルス性神経壊死症 / Viral Nervous Necrosis(VNN) / 魚病 / 海産魚のウイルス病 / ウイルスの生態 / ウイルス汚染 / PCR |
Research Abstract |
本年度実施した研究の結果は以下のように要約される。 (1)昨年度同様、RT-PCRおよびnested PCRによる不顕性感染魚からのベータノダウイルスの検出を行った。日本近海8海域で漁獲された天然魚50種1751個体について調べた結果、RT-PCRではマアジ、カツオ、クロマグロの3種において2.9%〜7.1%の個体でウイルス外被タンパク質遺伝子が検出された。また、nested PCRでは33種類からウイルス遺伝子が検出された。これらのうち、SJNNV型はマアジ、ヒラメ、マダイなど9種、RGNNV型はマアジ、マイワシ、クロマグロなどの30種から検出された。 (2)水産総合研究センターの4栽培漁業センター(宮古、伯方島、上浦、奄美)で使用されている4種の餌料用魚介類(マアジ、マサバ、イカナゴ、スルメイカ)合計420個体にっいてウイルス検出を行った。RT-PCRの検出率は1.7〜26.7%、nested PCRのそれは1.7〜49.2%であった。検出されたウイルスの遺伝子型は殆どがRGNNV型であった。 (3)上記で得られたRGNNV型ウイルスについてnested PCR産物の塩基配列(約180塩基)を解析したところ、その相同性は98〜100%と極めて高かった。E-11細胞によるウイルス分離では、RT-PCR陽性魚から21株のウイルス(RGNNV型)が得られた。そのうちの11株について、マハタに対する病原性試験(摂取量:107TCID50/g)を行った結果、いずれの株にも強い病原性が認められた(死亡率50%以上)。 (4)以上の結果から、昨年度明らかにした増養殖海域の天然魚のみならず、本近海に生息する天然魚はベータノダウイルスを高率に保有していることが明らかとなった。特に、ウイルスを保有する餌料用魚介類の存在は、増養殖魚における本病の防除を考える上で極めて重要となる。
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Research Products
(4 results)