2005 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の味覚依存型摂餌行動解発の神経機構の生理・形態・行動学的解析
Project/Area Number |
16380137
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
清原 貞夫 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50117496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 聖仙 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (30202005)
塚原 潤三 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20008923)
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Keywords | 味覚 / 摂餌行動 / 味蕾 / 味覚神経の投射経路 / 体部位局在構築 / 遊泳行動リズム / 嗅覚 / ナマズ |
Research Abstract |
今年度の生理・形態学的解析は餌の取り込み・口腔内保持・選別の時に関与する三叉神経運動核と顔面神経運動核について、主にゴンズイで解析をおこなった。この2種類の運動線維の末梢への追跡と電気刺激法で、支配する筋肉を同定した。又、それらの筋肉の機能について解析し、開口、閉口、鰓蓋運動などの関与を明らかにした。三叉神経運動核は吻尾方向で二つの亜核に分かれており、吻方亜核と尾方亜核と命名した。一方、顔面運動核は内側と外側の亜核に分かれ、さらに外側亜核は背側部と腹側部に分かれた。この2つの運動核と末梢筋肉の支配関係を解析した結果、体部位局在構築の存在が明らかになった。 生体標本で神経標識化合物を微小電極と通して微量注入する方法を検討し、効率的な注入技術が確立した。この方法で、何れかの運動核に標識化合物を注入して各運動核へ情報を送るニューロンを同定した。標識ニューロンは、延髓直下の網様体、顔面葉、迷走葉、上行性第3次味覚中枢など広い範囲でみられた。これらを解析し、この2つの運動核への三叉神経(触覚)と顔面神経(味覚)の情報が入る経路の概略が明らかになった。 昨年度の行動実験はゴンズイが典型的な夜行性の活動を明らかにした。今年はこの活動が光照度によりどのように影響をうけるのか、また内因性によるものかどうかについて調べ、次の結果を得た。1)LD条件下で、明暗サイクルに同調した夜行性の活動リズムを示すことを20匹で確認した。そのうち17匹の活動パターンは、暗期開始後に活動ピークを示すものだった。2)照度を1500 lxから100 lx、10l1xに低下させた時でも活動リズムは明暗サイクルに同調した。3)1500 lxのLL条件下ではほとんど活動を示さず(4例中4例)、10 lxのLL条件下でも3例中2例が活動を示さなかった。4)DD条件下では調べた8例中すべてに自由継続リズムがみられ、それら自由継続周期の平均は24.2±0.4hr(±SD)であった。これらの結果より、ゴンズイ成魚の遊泳活動に明暗サイクルに同調した内因性活動リズムの存在が明らかになった。また、暗期に解凍したオキアミを水槽の隅に音を立てること無く与えると、数秒〜数10後にこれを捉えて摂餌することを確認した。この能力は嗅覚遮断した、個体でも全く変化しなかった。以上のことより、ゴンズイは自然界では暗期の最初の時期(日没前後)に活発に遊泳して、主に味覚を利用して餌を探すことが分かった。
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Research Products
(5 results)