2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類のメラニン生成に関わる新経路の解明とその阻害による黒変防止
Project/Area Number |
16380144
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Research Institution | Kyoto university |
Principal Investigator |
平田 孝 京都大学, 農学研究科, 教授 (40273495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 達也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70378818)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125)
伊藤 祥輔 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
若松 一雅 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (80131259)
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Keywords | 甲殻類 / メラニン / ヘモシアニン / クルマエビ / 黒変 / 冷凍エビ |
Research Abstract |
本研究の目的は、甲殻類の凍結解凍後におけるメラニンの真の生成機構を明らかにし、その新規な防止法を開発することである。すでにクルマエビを試料として真の黒変因子はヘモシアニン(Hc)であることを明らかにした。しかし、(1)Heはエビの体のどこで活性化し、メラニン生成を引き起こしているのか、(2)Hcは何を基質としてどのような構造のメラニンが生成しているか、(3)Hcの活性化因子は何か、などについては依然として未知のままであり、本研究でその解明をおこなう。さらに、(4)明らかになった生成機構にもとづき新規なメラニン生成抑制法を開発する。 昨年度は、Hcはジフェノールオキシダーゼ活性だけでなくモノフェノールオキシダーゼ活性も有することを明らかとした。しかし、モノフェノール(チロシン)の酸化は、ジフェノール(DOPA)酸化反応より著しく遅かった。一方、DOPAの含量は極めて低く、したがって、解凍後における黒変の速やかな進行をうまく説明できない。そこで、モノフェノール類に微量のDOPAを添加してメラニン生成速度を検討したところ、生成速度の著しい上昇が認められた。すなわち、エビ類では微量DOPAが、体内に十分に存在しているモノフェノール類の酸化を促進し、その結果、解凍後に迅速な黒変が進行すると考えられた。また、メラニン生成のキー酵素はHcであることが明らかになったので、その阻害物質を探索した。その結果、二酸化炭素が効果的にHeに作用することを見出した。極めて興味深いことに、一定期間二酸化炭素に暴露したエビは、空気下で放置してもメラニンを生成しなかった。また、この作用は二酸化炭素によるpHの低下作用によるものではなかった。今後は二酸化炭素の作用機構を明らかにする必要がある。
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