2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市農村交流時代における農業の教育機能の発揮と増進に関する経済学的研究
Project/Area Number |
16380146
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大江 靖雄 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60302535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 伸一 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80292671)
霜浦 森平 千葉大学, 園芸学部, 助手 (40372354)
宮崎 猛 京都府立大学, 農学部, 教授 (50115945)
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
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Keywords | 都市農村交流 / 農業の教育機能 / 農業の多面的機能 / 正の外部効果 / 農業経営の多角化 / 農村ツーリズム |
Research Abstract |
本年度は、本研究では、都市農村交流活動を保健休養機能と教育機能の二つの機能に区分してそれらの経済性評価を行った。主な論点は、以下のとおり。 1)まず、農村資源の利活用に関する概念的な考察を行った。その結果、社会的ニーズが高まりつつある農業と農村の役割について、そうした潜在的需要を経済的に自立した交流活動として成立させるためには、内発的な需要シフトの革新が重要であることを指摘した。 2)農業生産額と交流活動の売上額との関連性をみると、過疎化・高齢化の進んだ中国・四国と首都圏の関東で両者の補完性がみられた。 3)交流活動の売上額の活動別の構成比を検討し、直販、宿泊、飲食の3つの活動が売上額の85%を占めること、遠隔地域では宿泊、首都圏では直販の比重が高いという地域性があることを明らかにした。 4)都市農村交流活動の経済性評価のため、内発的な資源利用の観点を導入した概念的考察を踏まえて、労働の限界生産性の計測を行った。その結果、常勤と非常勤ともに統計的に有意であったのは、保健休養機能に関連する直販、宿泊、飲食の3大活動であった。これらの活動は、地域への雇用効果を有しているといえる。また、地域資源利用の点からは直販で伝統和風の施設デザインが有効に作用しているが、地元食材利用に関しては十分な効果は確認できたとはいいがたい。 5)教育機能に関する食品加工体験や農林漁業・農村体験活動については、労働の限界生産性がいずれも有意ではなく、経済的に自立した活動となっているとはいいがたい。この分野は、社会的ニーズが高まりつつある領域であるため、社会的な認知を高める情報提供や持続的な体験サービスの提供に結びつくような地域資源利活用の仕組みづくりによる需要形成が必要である。この点についての詳細な分析は、次年度引き続き行うことにする。
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Research Products
(13 results)