2005 Fiscal Year Annual Research Report
農業農村の持続的発展をめざすコミュニティ型投資・雇用戦略の日欧比較研究
Project/Area Number |
16380148
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波夛野 豪 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30249370)
徳田 博美 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20346000)
中原 准一 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (60048121)
増田 佳昭 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (80173756)
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Keywords | コミュニティビジネス / 農村ツーリズム / アルザスワイン / 農家民宿 / ファーマーズマーケット |
Research Abstract |
本年度は、前年度から続く継続課題として、フランス・アルザス地方およびブルゴーニュ地方を対象に、(1)ワイン産業をめぐる各業態(ワイン醸造販売業者としての個人ブドウ栽培者、株式会社、協同組合)の構造・行動・成果、とりわけその収益性と投資実績、雇用状況の調査研究、(2)有機ワインや有機野菜の製造販売および地域の伝統に守られた低投入型自家製チーズの製造販売を行う個人農業者の収益性と投資実績、雇用状況の調査研究、ならびに小売業者による有機農産物の商標登録と有機農産物マーケットの開発状況、(3)ワイン醸造販売業者としての個人ブドウ栽培者ならびに低投入型自家製チーズの製造販売を行う酪農家による農家民宿の収益性と投資実績の調査研究、(4)農村ツーリズムの一環として農外資本によって行われている伝統的農業のエキジビションファームの視察を行った。他方で、こうしたヨーロッパのコミュニティビジネスと比較する意味で、安城市デンパーク、JA知多によるファーマーズマーケット「げんきの郷」の収益性と投資実績、雇用状況の調査研究を行った。 農業、農村のもつ特色を生かした地域資源活用型コミュニティビジネスは、西欧では長い歴史の下で国家を超えた形で人びとの生活の中にとけ込み、地域の伝統産業として発達しているのに対して、わが国のそれは近年注目されはじめたベンチャー型産業として位置づけられるという基本的な違いがある。このため、わが国のコミュニティビジネスは多くの資本投下を必要とし、また事業主体による運営の良し悪しによって集客力に違いが生じつつあり、良好な投資・雇用実績を確保している事例(げんきの郷)とそうでない事例(デンパーク)が見出された。ただし、農業農村に新たな仕事の場を創造し、地域の生活の質を良くするという意味では一定の貢献を納めている。こうした半公益性をどのように評価し、今後の発展に結びつけるかは地域に生きる人びとの共通の課題であると整理した。
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Research Products
(3 results)