2004 Fiscal Year Annual Research Report
島嶼地域における持続可能な農業生産システムの形成に関する研究-沖縄の島々を対象に-
Project/Area Number |
16380151
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 教授 (70180312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 香 琉球大学, 農学部, 助手 (30325831)
|
Keywords | 土地利用 / 単作化 / 耕畜の結合 / 地力維持 / 堆肥生産 / 堆肥原料 |
Research Abstract |
平成16年度は次の三つの課題について資料の整理及び調査を行った。 1、沖縄本島周辺離島における農業関連資源賦存量の統計的把握 伊平屋島、伊是名島、伊江島、粟国島における農家数、農地面積、作物、家畜の日本復帰後の変化と現段階の状況について統計的に整理した。その結果次のことが明らかになった。土地利用においては伊江島を除く三つの島ではサトウキビ単作化が進んだが、その10a当たり収量は近年大きく低下している。伊江島では葉タバコ、花卉が大きく伸び、サトウキビは減少した。家畜飼養ではかつて島々の畜産の主体をなした養豚はほとんど姿を消した。肉用牛は伊江島、粟国島では増加しているが、伊平屋島、伊是名島では減少している。この結果、経営の形態は単一化し、耕種と畜産の結合はきわめて弱いものになっている。このことは島々の土地利用及び地力維持のうえで問題になるだけでなく、農業生産を不安定なものにしている。 2.島嶼における伝統作物の導入による農業の振興に関する調査 粟国島においてモチキビの導入による農業振興の可能性に関する調査を行った。粟国島では1990年代初頭にモチキビを導入し、現在、栽培面積ではほぼサトウキビに匹敵し、農家数ではサトウキビを大きく上回っている。しかし、サトウキビの収穫時期とモチキビの播種期が重なることや生産者の高齢化などから安定した輪作体系は形成されておらず、また、モチキビの栽培技術も不安定な段階にある。 2.沖縄本島周辺離島における堆肥生産施設の運営に関する調査 個別経営において耕種と畜産の結合が弱いことから、これらを結びつける要となる堆肥生産施設の運営について伊平屋島、伊是名島、伊江島において調査を行った。伊平屋島、伊是名島においては家畜の飼養頭数が少ないことから、堆肥の原料が不足しており、伊江島においては、葉タバコ農家を中心に旺盛な堆肥需要があり、島内の生産では応えられない状況にある。島々において家畜(肉用牛)を増やすことが課題である。
|