Research Abstract |
平成16年度は,調査研究の主要対象地域であるトルコ共和国の地中海地域とアナトリア高原地域に展開するセイハン川流域の下流デルタ灌漑地域において,基礎資料の収集と灌漑地域の水循環・水収支を定量評価するモデルの開発を中心にして,研究を行った.その内容と成果の概要は以下のとおりである. (1)対象地域の地形・地質・土壌,営農体系・作付け体系,灌漑排水施設,水管理組織,用排水管理操作,送配水量についての,現況及び過去の資料・記録を,できる範囲で管轄機関から入手した.一部は,必要に応じて,現地で補足的な確認・観測を行った.資料の収集整理の進展に伴って,衛星データの入手が必要であることを確認し,その収集と整理を行った. (2)圃場用排水量,用排水路流量,河川流量,及び地下水位について,代表的な地点で,現地の研究協力者に依頼して,必要な現地観測を行った. (3)圃場水収支モデルの構築とパラメータ確定のために,圃場の土壌水分や塩分,蒸発散,作物生育などについて,必要な資料を収集するとともに,携帯型の土壌水分測定装置等によって,適時現地観測を行った. (4)灌漑地の水循環・水収支を定量的に評価するための要素モデルのプロトタイプを作成した.すなわち,圃揚水収支,灌漑排水(送配水)システム,地域地下水流動,水管理組織・操作の各モデルである.これらを統合したモデルを「灌漑管理実効評価モデルIMPAM:Irrigation Management Performance Assessment Model」として開発した.モデル群のコアとなる圃場水収支モデルは,既存の土壌-植物-大気-植生の関係を表現するいくっかのモデル(SWAP,CERESなど)を,圃場水収支の表現の視点からレビューして,簡略化した.
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