Research Abstract |
平成17年度は,調査研究の主要対象地域であるトルコ共和国の地中海地域とアナトリア高原地域に展開するセイハン川流域の下流デルタ灌漑地域を中心にして,基礎資料の収集の継続と灌漑地域の水循環・水収支を定量評価するモデルの改良と適用を中心にして,研究を行った.また,その成果を,国際会議等で発表し,関係者と方法と課題について意見交換を行った.その概要は以下のとおりである. 1.対象地域の条件,農業・灌漑排水システムに関する現況及び過去(20年程度)の資料・記録の入手を継続して試みた.必要に応じて,現地での確認・観測を行い,昨年度までに入手完了した記録はデジタル情報化して,モデル計算に適用できるように調整した. 2.圃場用排水量,用排水路流量,河川流量,及び地下水位について,代表的な地点で現地観測を継続した.現地観測の一部は現地の研究者協力者に依頼した. 3.圃場水収支モデルの改善とパラメータ確定のために,圃場の土壌水分や塩分,蒸発散,作物生育などについて,必要な資料を収集するとともに,適時現地観測を行った. 4.昨年度までに作成したモデルの各要素モジュール及び全体モデルのプロトタイプに修正を加えた(圃場水収支,灌漑排水(送配水)システム,地域地下水流動,水管理組織・操作の各モジュール).広域の地下水流動モデルは独立して開発して,連携を図るようにした. 5.修正したモデルを現地に適用し,検証データの収集の進捗に応じて,モデルの検証・改良を進めた.その結果,送配水中の損失が大きいことと,灌水時の圃場浸透量が大きいことなどが確認できた. 6.モデルの構造や適用結果などについて,国際灌漑排水会議(ICID,2005年9月,中国北京市)や第4回世界水フォーラム(2006年,3月,メキシコシティー)などで発表した,関係者と意見交換を行った.
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