2006 Fiscal Year Annual Research Report
カバークロップを導入した持続型農業体系における土壌生物の動態と養分循環
Project/Area Number |
16380165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒木 肇 北海道大学, 北方生物園フィールド科学センター, 教授 (30183148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 助教授 (10205510)
上野 秀人 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90301324)
平田 聡之 北海道大学, 北方生物園フィールド科学センター, 助手 (60281797)
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Keywords | カバークロップ / 窒素供給 / 炭素蓄積 / 土壌生物性 / イネ科マメ科の比率 / 水田 / 施設トマト |
Research Abstract |
1.水田におけるカバークロップ由来窒素の有効利用 9種類の緑肥を栽培し,植物体を15Nでラベルした。これらの緑肥を水田にカバークロップとして表面と鋤込みの2方法で施用したところ,水稲の生育および緑肥由来窒素の利用率は,鋤込み施用で高くなった。マメ科緑肥は易分解性のため,早期に窒素を放出してしまうが,イネ科緑肥は,栽培後期まで肥効が持続する傾向が見られた。西南地域水田では,シロクローバー,エンバク,キカラシが有望な緑肥と考えられた。 2.畑地における土壌動物のカバークロップ由来窒素の利用 農耕地土壌中の窒素循環に着目し重窒素を用いて土壌動物のカバークロップ窒素利用を調査した。耕起区よりも不耕起区で、有機物堆積量と土壌動物バイオマスが多く、重窒素を指標としたカバークロップ窒素の土壌動物およびオカボへの移行率が不耕起区で耕うん区に比べて2倍ほど高くなった。土壌動物はカバークロップ窒素の利用を促進し、不耕起とカバークロップの組合わせ利用で耕地内の窒素循環促す土壌生態系を構築する可能性が示唆された。 3.カバークロップを導入した施設圃場の生物性とカバークロップ由来窒素の利用 施設内において、ヘアリーベッチ(HV)またはエンバクの植物残渣マルチ畝では、裸地畝に比べて大型土壌動物数が2〜3倍に増加した。15NをラベルしたHVをマルチとして加工用トマトを夏〜秋季に栽培すると、HVの約17%がトマトに吸収されたが、下位葉(早期展開葉)より上位葉(生育後期の展開葉)でHV由来窒素の吸収率が大きかった。施肥量の少ないほどHV由来窒素の吸収率が大きいことが認められ、低窒素条件下でのHV利用が有効と考えられた。 4.イネ科・マメ科の構成比率の推定 群落反射光のハイパースペクトルデータによるイネ科・マメ科緑肥作物の識別法について解析を行い、イネ科・マメ科緑肥作物の局所的な構成比率の算定法への応用を検討したところ、誤識別が約1%以下となる判別関数式が得られ、ハイパースペクトルデータの有効性が示された。
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Research Products
(23 results)