Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中元 朋実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50180419)
阿部 淳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60221727)
佐々木 治人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60225886)
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00168428)
岡田 益己 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター, チーム長(研究職) (10355274)
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Research Abstract |
今年度は,岩手県雫石町所在の水田FACE(開放系大気CO_2増加)実験圃場にて,土壌プロファイル・スキャナーを用いて,イネの根の発生消長を計測するとともに,メッシュバッグ法にて新しく発生する根を採取・計測した.また,炭素安定同位体^<13>Cを,水田FACE実験圃場に生育する水稲植物体にフィードし,植物体各部位,水田の土壌炭素,微生物炭素,気泡,土壌水中のCO_2とメタン,そして水田から放出されるメタンに,どのように炭素が分配されるかを調べた.さらに,FACE実験に用いたCO_2が化石燃料由来のため^<13>Cが少ないことを利用して,植物由来の土壌中炭素量を推定した.得られた結果は,次のとおりである.1.土壌プロファイル・スキャナーにより,根の発生と枯死を同時に捉えることができた.高CO_2濃度と外気CO_2濃度を比べると,イネの登熟後期発生する新根量は外気CO_2濃度の方が多かった.ただし,土壌プロファイル・スキャナーの設置タイミングの問題のため,メッシュバッグで測定した新根発生量と比較することはできなかった.2.地上部にフィードした^<13>Cのうち,約2%が2日後には根に分配されていた.一方,同じ2日後に土壌の気泡中メタンに含まれる^<13>Cは,フィードした量の2.5-3.3%に達したが,実験期間を通じてメタンとして放出された^<13>Cの総量は,フィードした量の0.7%程度に過ぎず,生成したCH_4の70-80%は酸化されたことになる.3.土壌溶液中のメタンとCO_2の^<13>Cは,高CO_2濃度によって低下し,植物からの炭素の流れを捉えることができた.4.出穂期に限ってであるが,高CO_2濃度でメタン放出量が増加することが観測された.また,メタン生成ポテンシャルも,高CO_2濃度によって高まることが確かめられた.以上の観測結果は,今後植物-土壌炭素・窒素プロセスモデルの検証に用いる予定である.
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