2005 Fiscal Year Annual Research Report
農産物・食品安全のための微生物挙動予測エキスパートシステムの構築
Project/Area Number |
16380175
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内野 敏剛 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (70134393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 史彦 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30284912)
中司 敬 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50128055)
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Keywords | 微生物 / 増殖予測モデル / Gompertzモデル / 温度履歴 / モンテカルロ法 / 数値流体力学 / 赤外線加熱殺菌 |
Research Abstract |
経時的に変動する温度下で、Bacillus cereusの増殖予測を行う挙動モデルを構築した。すなわち、増殖速度と誘導期の温度依存性を明らかにし、これらを温度の関数として示した。さらに、修正Gompertzモデルを増殖速度と誘導期の関数として表し、これらの式を用いて菌数を予測した。変動する温度には青果物流通過程の温度変化を当てはめ、菌数の変化を計算した結果、実測値と計算値は非常によく一致した。流通過程の温度変化は、収穫から青果市場までの冷凍車内で輸送中の青果物品温を実測した。また、農産物、食品の流通あるいは加工貯蔵中の温度変動は千変万化であることから、数種の温度履歴パターンを設定する必要がある。その第一歩として鋸歯状の周期関数を温度変化として同様に計算し、こちらも良好な予測結果を得た。 さらに、熱移動モデルと微生物挙動モデルの組み合わせにより、温度変動環境下での微生物挙動を動的に予測する2つの要素技術について考究した。すなはち、(1)遠赤外線加熱殺菌に関する研究、ならびに、(2)確率予測微生物学的手法による微生物挙動の予測である。まず、(1)に関する研究では、モンテ・カルロ法と数値流体力学(CFD)によって、農産物の厳密な遠赤外線加熱モデルを構築した。遠赤外線による熱の移動を熱粒子のランダムな振る舞いとして捉え、熱粒子の発生、輻射方向、吸収・反射等を確率的に予測した。流体-固体間の局所的熱伝達についてはCFDにより解析し、内部熱伝導については拡散方程式を解いて温度の時空間分布を予測した。このモデルと殺菌速度式をリンクすることによって腐敗性菌の生存曲線を予測した。つぎに、(2)では、成長曲線を決定する成長モデル式中のパラメータが、多変量正規分布に従う乱数の生成によって決定できると仮定し、モンテ・カルロ法による微生物成長の確率的予測を行った。
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Research Products
(4 results)