2005 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子解析による体細胞クローン発生異常の追究
Project/Area Number |
16380192
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
河野 友宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80153485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10303869)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教授 (90309352)
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Keywords | クローン / 遺伝子発現 / 核移植 / 発生異常 |
Research Abstract |
体細胞および胚性幹(ES)細胞をドナー細胞としたクローン動物が、ヒツジ、ウシ、マウスをはじめ8種ですでに作出されているが、いずれの例でも成功率は0〜数%と著しく低率である。その原因を探る研究が精力的に行われているが、直接的な原因究明には至っていない。そこで本研究では、着床前クローン胚および初期胎仔および胎盤における発現異常の遺伝子を網羅的に探索し、クローン胚に特徴的な遺伝子発現プロファイルを作成した。さらに、既存のデータベースを活用して得られた情報を解析し、体細胞クローンの発生異常に関わる候補遺伝子群を明らかにした。体細胞クローンマウス胚を既報に従い作成した。2細胞期胚を用いたdifferencial disply法により、体細胞クローン胚と体外受精(IVF)胚との間で差次的発現を示す遺伝子を複数同定した。さらに、sbutraction法によりESクローン胚における胚盤胞期胚における差次的発現遺伝子群をカタログ化した。その結果、1)胚性ゲノムの活性化にともなって発現が上昇する遺伝子の発現量が体細胞クローン胚で一様に低いという結果が得られた。胚盤胞期のNT胚を用いた解析では、RNAポリメラーゼIおよびIIIにより転写される遺伝子の発現にも異常があることを見いだし、さらにNT胚においてリボソームRNAの生合成に何らかの異常が存在することを示唆する結果が得られた。2)発現量の差が有意であると推定された候補遺伝子218のうち198クローンの塩基配列を決定した。BLAST解析の結果、152が既知遺伝子であることを特定した。ESクローン胚盤胞で特異的発現を示していると判定された候補遺伝子のうち、10遺伝子についてリアルタイムRT-PCRを行った結果、5候補遺伝子では発現が高いことを確認した。以上のことから、体細胞核移植胚は発生のきわめて早い段階でいくつかの遺伝子発現異常を示し、胚盤胞期では胚の損失に繋がる遺伝子発現異常を伴うことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)