2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬の特発性脳炎の自己抗原同定、病態解析と疾患モデル化
Project/Area Number |
16380211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松木 直章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40251417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 憲一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
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Keywords | 犬 / 壊死性髄膜脳炎 / 肉芽腫性髄膜脳炎 / 自己抗体 / グリア線維性酸性蛋白質 / クローニング |
Research Abstract |
症例の蓄積:犬の特発性脳炎のうち壊死性髄膜脳炎(NME)について、パグ犬症例約30例ならびに非パグ症例約30例を得た。これらの症例について、臨床データ、MR画像、脳脊髄液(CSF)所見、剖検所見を含むデータベースを作成した。また、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)については4例を得、同様のデータを収集した。これと平行して、他の炎症性疾患(約20例)ならびに非炎症性疾患(約40例)のデータ、健康犬(約20例)のデータも収集した。 CSF中自己抗体の検出と確認:上記のごとく収集したCSFについて、初代培養犬アストロサイトを用いた間接免疫蛍光法(IFA)により自己抗体を検出したところ、全てのNME症例で抗アストロサイト自己抗体が陽性であった。以上より、CSF中の抗アストロサイト自己抗体はNMEの臨床的マーカーとして極めて有用であると考えられた。 標的抗原の同定:健康犬の大脳ホモジネートと症例CSFを用いてイムノブロッティングを行ったところ、少なくとも一つの共通抗原が認められた。また個体ごとに1-4本のバンドを認めた。これらの抗原をMALDI-TOF-MASS法で解析したところ、共通抗原はグリア線維性酸性蛋白質(GFAP)であった。また、個体ごとにグルタミン酸輸送体-1(GLT-1)やグルタミン酸脱水素酵素(GDH)などに対する自己抗体が認められた。 犬GFAP遺伝子のクローニング:NME症例に共通した自己抗原としてGFAPが同定されたため、犬GFAPの遺伝子クローニングを実施した。犬GFAPは過去に報告されたヒトGFAPや牛GFAPとN末端側では大きく異なる構造を持ち、それ以外の部分の相同性は極めて高かった。
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