2005 Fiscal Year Annual Research Report
関節マトリックス破壊マーカーとしての尿中COMPの解析
Project/Area Number |
16380212
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三角 一浩 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (10291551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 誠 鹿児島大学, 農学部, 助手 (60305167)
上村 亮三 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助教授 (30253884)
瀬戸山 健太郎 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助手 (00372805)
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Keywords | 関節症 / 細胞外マトリックス / 診断マーカー / 軟骨 / 尿 |
Research Abstract |
馬関節軟骨由来COMPに対するモノクロナール抗体(mAb)14G4の抗原認識部位をもつ分子断片は、馬の尿中からも検出されることから、本研究では、関節症(osteoarthritis,以下OA)のある競走馬の尿中COMP値を測定し、その関節マーカーとしての有用性について検討を行った。 【材料と方法】X線検査にてOAと診断され、関節鏡視下手術を実施したサラブレット83頭を対象とし、麻酔導入から手術開始の間に導尿し、輸液や利尿の影響がない条件で尿サンプルを得た。合わせて、関節液と血清も採取した。臨床症状とX線検査でOAがない馬(111頭)から競走直後に尿を採取し、対照として用いた。尿中COMPは、馬関節軟骨から生成したCOMPとmAb14G4で設定したinhibition ELISAにより測定し、尿中クレアチニン濃度で除した補正値として示した。滑液サンプルでは、ゼラチンザイモグラムを行い、分子サイズに基づきマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-2および-9を区別し、それぞれのバンドの酵素活性をデンシトメトリーにて定量した。OAサンプルを用いて、滑液、血清、および尿中COMP値の相互関係、あるいは尿中COMP値と滑液中MMP-2,9活性との相関関係について統計的検討を行った。 【結果】mAb14G4を用いたELISAのinhibition curveの直線下降部は、馬のみならずラット、マウス、イヌおよびヒト尿のサンプル希釈曲線とパラレルに推移した。OA馬の尿中COMP値(1.02±0.75μg/100mg creatinine)は正常馬(0.57±0.29μg/100mg creatinine)と比較して有意に高かった。OAの馬から得られた尿のCOMP値は滑液中の値に対して、負の対数関数で表される相関を示した。また尿中COMP値は、滑液のMMP-2および-9に対して正の有意な相関を示した。 【考察】mAb14G4を用いることにより馬の尿中に存在するCOMP断片を検出できた。尿中に検出されるCOMP断片はOA馬で有意に高いこと、それは関節液中のCOMP濃度よりむしろ、その断片化すなわち関節液中のマトリックス分解酵素活性を反映することが明らかとなった。関節症の診断マーカーとして尿中COMPは臨床的に役立つ可能性があることが示唆された。
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