2007 Fiscal Year Annual Research Report
MRI・CT所見と臨床・神経検査所見を根拠にした小動物の脳疾患局所診断学の確立
Project/Area Number |
16380213
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
徳力 幹彦 Nihon University, 生物資源科学部, 教授 (60012001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 勝人 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50409067)
中山 裕之 東京大学, 農学生命研究科, 教授 (40155891)
織間 博光 日獣生科大学, 獣医学部, 教授 (50130729)
菅沼 常徳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50063970)
中市 統三 山口大学, 農学部, 教授 (60243630)
|
Keywords | 犬 / 脳疾患 / MRI / CT / 局所診断 |
Research Abstract |
過去4年間にわたり、日本大学動物病院に来院した患者の中で、臨床検査所見ならびに神経学的検査所見により脳に障害があり、MRIの画像に異常が認められた犬の97症例を、その異常部位ならびに病理検査所見により分類した。前脳・小脳・脳幹障害は9例、前脳・小脳障害は10例、前脳・脳幹障害は10例、小脳・脳幹障害は6例、前脳障害は55例、小脳障害は6例、脳幹障害は0例であった。また、臨床・神経検査所見に異常があり、MRIの画像に異常が認められ、この異常が病理検査により診断された症例は21例、臨床・神経検査所見に異常が認められ、MRIの画像に異常が認められ、外科手術時に摘出した標本に基づいて診断された症例は8例であった。これらの症例のMRIの画像の異常領域は広範囲であり、ヒトの場合と異なり、犬の脳疾患患者の来院時期は、脳疾患がかなり進行してからであることが明らかとなった。 過去4年間にわたり、宮崎大学農学部家畜病理学研究室(神経病理標本が全国から集中的に集まる研究室)で病理的に分類された犬の神経疾患あるいは神経筋疾患93症例の内訳は、腫瘍性疾患が48例、炎症性疾患が22例、変性疾患が16例、循環障害性疾患が5例、先天性異常が2例であった。脳の小領域を障害する可能性の高い犬の腫瘍性神経疾患48例の内訳は、髄膜腫19例、星状膠細胞腫などの膠細胞腫6例、悪性末梢神経鞘腫5例、脈絡膜腫瘍5例、組織球性肉腫3例、リンパ腫関連病変3例であり、病理学的には脳の限定された領域の障害が存在していた可能性はあった。しかし、MRI検査所見がありながら病理標本の得られた症例は21例に過ぎない現状では、MRIの画像から局所性病変を明らかにするのは、ほとんど不可能に近かった。 世界レベルにおける犬の脳の標準切断面の設定は、依然として暗中模索の状態である。
|
Research Products
(4 results)