2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物群集機能を利用したラン藻由来有毒物質の処理手法の確立
Project/Area Number |
16380216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉浦 則夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (10302374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 孝昭 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40015665)
小林 達彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70221976)
内海 真生 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60323250)
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Keywords | 水環境 / 富栄養化湖沼 / アオコ / ラン藻由来有毒物 / microcystin / nodularin / 分解菌 / 処理技術 |
Research Abstract |
本研究では、世界的に水環境中で問題になっているラン藻由来有毒物質に対して高効率処理技術を確立するために、強力な肝臓毒であるmicrocystinをモデル物質として本年度は新規microcystin分解菌、特に好アルカリ性分解菌の探索を行った。 現在までにmicrocystin分解菌は世界的にも3種しか報告されておらず、新たなmicrocystin分解菌の発見は焦眉の課題となっている。さらに、本研究の前段において茨城県霞ヶ浦より単離されたNovosphingobium sp.を含め、そのほとんどが中性付近に高い活性を示すことが分かっている。しかしながら、実際にアオコが発生している水域由来の細菌群集のmicrocystin分解能はアルカリ領域においても中性付近のものと同程度であることから、アルカリ性において活性の高いバクテリアの存在が考えられる。また、アオコが発生している時期には水域のpHが10を超えることもあるため、安定したmicrocystin分解能を有した処理システム構築のためには好アルカリ性microcystin分解菌の単離が必須である。 そこで本年度は、すでに単離されているNovosphingobium sp.と採取ポイントが異なる中国貴州省紅楓湖のサンプルを用いて、スクリーニング培地のpHを9.5に固定して探索を行った。その結果、高活性のmicrocystin分解能を有するmicrocystin分解菌の単離に成功した。本分解菌(C-1株)は黄色のコロニーを形成するグラム陰性の桿菌で、16SrRNA配列の解析によりのSphingopyxis sp.に分類されることが分かった。茨城県霞ヶ浦より単離された分解菌Novosphingobium sp.(MD-1株)と分解活性について比較検討を行った結果、C-1株はアルカリ性において増殖するにもかかわらず、どちらの菌もmicrocystin分解活性はpH中性付近で最大となることが見出された。
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