2004 Fiscal Year Annual Research Report
農業生態系における人畜共通病原微生物の動態解明と環境リスクデータベースの作成
Project/Area Number |
16380224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
土屋 健一 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物環境安全部・微生物・小動物研究グループ, 研究リーダー (40150510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
對馬 誠也 独立行政法人農業環境インベントリーセンター, 微生物分類研究室, 室長 (50354080)
古屋 成人 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10211533)
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Keywords | 人畜共通病原微生物 / セパシア菌 / 日和見感染菌 / リスクアセスメント / ピロールニトリン / Genomovar(遺伝子型) / 環境微生物 / 伝染性系統マーカー遺伝子 |
Research Abstract |
1.各種農業生態系からの人畜共通病原微生物の分離・収集・保存 日本産またはタイ産の植物病原または根圏土壌,および国内の家畜スラリー等の有機物施用土壌をそれぞれ収集し,選択培養報を用いてBurkholderia cepacia(セパシア菌)を多数分離した。また、ヒト他各種臨床試料由来菌株を分譲により収集し,分離株はスキムミルクに懸濁し,凍結保存した。 2.分離細菌の種の同定およびGenomovar判定 分離菌株はいずれも16s rDNAの塩基配列からB.cepacia群と同定された。また,16s rDNA(DdeI処理)およびrecA遺伝子(HaeIII処理)のRFLPパターンに基づき,遺伝子型(genomovar:Gv.)の決定を行った。その結果,農業環境由来の大多数(81%)の菌株はI型に,残り(19%)はIII-B型に判別された。これに対して,臨床由来株はII型以外の遺伝子型(I〜V型)に分布するが,過半数はIII-A型(29%)およびIII-B型(33%)に判別された。 3.抗菌物質産生能による有用菌株の評価と選抜 抗生物質ピロールニトリンの生合成関連遺伝子(prnC)に特異的なDNA断片は,環境由来菌株の多数からPCR増幅されるのに対して,臨床由来菌株では検出頻度が低かった。ヒト由来のセパシア菌伝染系統(B.cepacia epidemic strain)に存在するマーカー遺伝子(esmR)は,特異プライマー(BCESM1、BCESM2)を用いたPCRにより遺伝子型III-AおよびIII-Bからのみ特異的に検出された。環境由来菌株と臨床由来菌株におけるprnCの分布は,それぞれ86.5%および25%であり,それらのほとんどは遺伝子型Iに属した。これに対して,esmRの分布は,それぞれ11.6%および45.9%であり,いずれもIII-A型またはIII-B型に属した。ほとんどの菌株においてprnCとesmRの分布は,それぞれ偏在したが,環境由来菌株の約5%には両遺伝子が存在した。
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Research Products
(4 results)