2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化を基盤とする幹細胞のエピジェネティクス
Project/Area Number |
16380226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 智 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (90242164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
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Keywords | DNAメチル化 / TS細胞 / 胎盤 |
Research Abstract |
本研究は、胚性幹細胞(ES細胞)、栄養膜幹細胞(TS細胞)および胚性生殖幹細胞(EG細胞)といったマウス初期胚由来幹細胞などに焦点を絞り、幹細胞DNAメチル化パターン解析から各種幹細胞に普遍的な、あるいは、各幹細胞の性質を特徴づけるエピジェネティック機構をゲノムワイドに明らかにすることを目指している。本年度は、TS細胞およびその分化誘導後の細胞では高度にメチル化されているが、ESおよびEG細胞、あるいは肝臓や腎臓などの成体組織ではほとんどメチル化されていないゲノム領域の1つである、PRISMタンパク質をコードする遺伝子のエピジェネティック制御に関する解析を進めた。PRISMタンパク質はPR/SETドメインと4つのジンクフィンガーを有し、ヒストンメチル化酵素との相互作用を介してヒストンを修飾することで転写を抑制する。PRISM遺伝子のDNAメチル化による抑制が栄養膜細胞への分化に必要な遺伝子セットの発現を保障していることが期待されたが、PRISMの発現がDNAメチル化の低いES細胞においてもほとんど無いことが判明した。TS細胞、および、ES細胞をヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンAで処理することで、それぞれでPRISM遺伝子の発現が誘導されたことから、ヒストンアセチル化修飾がPRISM遺伝子の発現抑制により直接的に作用していることが示唆された。本年度はまた、昨年度確立したTS細胞への外来遺伝子導入法を用いて、Tetリプレッサーを恒常的に発現するTS細胞形質転換株の樹立に成功した。これより、TS細胞においてもTet-offシステムによる外来遺伝子の発現制御を行うことが可能になった。
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Research Products
(2 results)