2004 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的カスケード反応を利用する生理活性天然物の効率合成
Project/Area Number |
16390001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 真弘 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10217573)
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Keywords | 環境調和型 / 炭素-炭素結合形成反応 / 遷移金属 / 連続反応 / 電解還元 / カスケード反応 / グリーンケミストリー / 定電位還元 |
Research Abstract |
近年、環境調和型の新しいタイプの触媒的な炭素-炭素結合形成反応の開発が精力的に行われている。とりわけ,遷移金属を触媒とする多様な連続反応の発展には目を見張るものがある。しかしながら,電解還元を利用したカスケード反応の開発研究はあまり知られておらず,グリーンケミストリーの観点からも注目を集めている。 本研究では,ニッケル触媒を用いた定電位還元を利用する多環状化合物のワンポット合成を検討した。自然界に存在する生理活性分子の中には,その基本骨格あるいは部分骨格としてビシクロ[2.2.1]ヘプタン環や,さらに6員環や7員環が融合した三環性分子が多数知られている。本年度は,これら炭素基本骨格を定電位還元を用いて効率よく合成する手法の開発に着手した。反応基質の設計ならびに有効な触媒の探索を種々行った結果,ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格ならびにトリシクロ[6.2.1.0^<1.6>]ウンデカン骨格がそれぞれ鎖状およびシクロヘキセン誘導体から,ワンポットで合成可能であることが明らかとなった。さらに本法を7員環を持つ3環性化合物のワンポット合成に適用することにより,トリシクロ[7.2.1.0^<1.7>]ドデカン骨格を一挙に合成することにも成功した。今後,8員環を含む生理活性天然物の基本炭素骨格のワンポット合成に利用する予定である。 本反応はラジカル反応同様,フレキシビリティのある連続反応であると考えられることから,これまでイオン反応を用い多段階を要して合成されていた炭素骨格の構築を,効率的に合成するための新たな手法にあるものと期待される。
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Research Products
(4 results)